次に目を開いた時にはもう外に連れ出されていた。
イーヴァンに体を支えられ、少し離れた位置から教会を眺める。

育った場所が灰になっていく様子も。シスターの皆の泣き崩れる姿も。
今、自分が生きている事さえ。
全部全部、夢なんじゃないかと思った。

「どうする。声をかけるか」
イーヴァンが言う。
すぐにそうするべきなのはわかっていた。きっと皆も、私がまだ中に取り残されていると思っている。

「……あなたと」

それなのに。自分の口から出たのは、全然別の言葉だった。

「一緒に、いたい……」

背徳感に苛まれ、
誰の顔も見られない。


「── わかった。行こう」
長い長い沈黙の後。自分の着ていたジャケットを私に羽織らせると、彼は私の手を引いた。

ごめんなさい、
ごめんなさい。

胸の中で繰り返しながら夜道を駆けた。