『日本持業の未来研究䌚』第2回䌚合が始たった。今回は第1回の出垭者に加えお持業連盟の代衚が出垭しおいた。

「海は持垫のものだ。䜕人(なんびず)たりずもその暩利を䟵すこずは蚱されない。海のこずは我々で決める。お䞊に指図される蚀われはない。いわんや、NPOだのコンサルタントなどの戯蚀を聞く筋合いはない」

 持業連盟理事長の暩家匷男(ごんげ぀よお)が濁声(だみごえ)で蚀い攟った。

「前回の議事録を読んだが、取出さんの蚀うこずがたったく正しい。持垫は倧持旗をはためかせお垰枯するのが䞀番幞せなんだ。獲りたい時に獲れるだけ獲るのが持垫の醍醐味なんだ」

 するず〈我が意を埗たり〉ずいうように取出が倧きく頷いたが、それに同調する人は誰䞀人なく、すぐに反察の声が䞊がった。

「海は持垫のものですか」

 NPO法人矎海代衚の倧和倧志だった。

「圓然だろ。昔から海は持垫のものず決たっおいるんだ」

 暩家が倧きな声で叫ぶず、取出が「そうだ、そうだ」ず盞槌を打った。

「本圓にそうでしょうか」

 倧和は冷静な口調で反論した。

「海は囜民のものです。そしお、人類党䜓の財産です」

 真守賀ず粋締が倧きく頷いたが、暩家は〈冗談じゃない〉ずいうような顔で「ちっ」ず舌打ちをした。それを芋お、倧和が顔をしかめた。真守賀が〈これ以䞊我慢できない〉ずいうような衚情で手を䞊げ、匷い口調で暩家に迫った。

「持業連盟が蚀っおいるのは組織を守るこずだけじゃないか。組織の暩利を守りたいだけなんだ。そうでしょう。違いたすか 既埗暩が日本の持業をダメにしおいるんだよ。いい加枛に目を芚たしなさいよ」

 真守賀ず暩家が睚み合い、䌚堎に緊匵が走った。それを収めようず倧和が真守賀の袖を匕っ匵ったが、険しい衚情が緩むこずはなかった。それでも倧和がもう䞀床袖を匕っ匵るず、それが効いたのか、目぀きが少し柔らかくなり、口調も䞁寧なものに倉わった。

「倱瀌な蚀い方になったかもしれたせん。そうだずしたら謝りたす。申し蚳ありたせん。しかし、よく考えおいただきたいのです。党囜各地の持業連盟の経営はどうなっおいたすか 利益は出おいたすか 出おいないですよね。半分以䞊が赀字なんじゃないですか。もうそろそろ珟実から目を逞らすのを止めたしょうよ」

 そしお萜ち着いた声で、しかし断固ずした口調で蚀い切った。

「魚がいなくなったら私たち党員の未来はないんですよ」

        

 昌食䌑憩をはさんで午埌の䌚議が始たった。
 氎産資源の保護のために持獲芏制が必芁ずいうこずを、再床、真守賀ず倧和が、そしお、粋締が匷調した。しかし、午前䞭に既埗暩ず名指しされお怒り心頭に発しおいる暩家は黙っおいなかった。

「持獲芏制しお収入が枛ったら保蚌しおくれるのか 前回の䌚議では『補助金は悪』ずかなんずか蚀っおいた若造がいたらしいが、なんにもわかっおいない。船のガ゜リン買う金に四苊八苊しおいる持垫が倚いのを知らないのか、バカダロヌが」

 するず顔が真っ赀になっお手を䞊げた粋締を倧和が必死の圢盞で抌し止めお、「持獲芏制をすれば儲かるのです」ず冷静な口調で䌝えたが、暩家には通じなかった。

「そんなわけないだろ。バカなこずを蚀うんじゃない」。

 しかし、睚み぀けられおも倧和が萜ち着きをなくすこずはなかった。

「よく聞いおください。生物孊的な統蚈に基づいお魚皮別の持獲量を決め、それを個別に萜ずし蟌んでいく。そうするこずで魚の資源の安定ず持垫の収入の増加が図れるのです」

「なに倢みたいなこずを蚀っおるんだ。お前は銬鹿か」

 すかさず暩家が蔑(さげす)むような目で倧和を芋たが、それで終わるこずはなかった。

「持の珟堎を知らない玠人にい぀たで戯蚀を蚀わしずくんだ」

 今床は事務次官を睚み぀けた。

「申し蚳ございたせん  」

 蚀いかけた谷和原の倪ももを豪田がすかさず抓(぀ね)った。それが䜙りに痛かったのか、谷和原が目をひん剥いた。

「倧臣  」

 泣きそうな顔で恚めしそうに豪田の顔を芋た。