「ふふ……いいよ。三人で行こう。」

そう言った瞬間、胸の奥に小さな痛みが走った。

二人の間で笑っていられる今が幸せなのに、心はどうしても家継を求めてしまう。

夕暮れの空に、まだ名も知らぬ不吉な気配がひそやかに漂っていることなど、この時の私は気づいていなかった――。

そして私たちは巫女服や狩衣を脱ぎ、普段着に着替えて夜の街へと繰り出した。

石畳を離れ、提灯の明かりが並ぶ商店街に足を踏み入れると、昼間とは違うざわめきが広がっていた。

「どこに行く?」

家継が低い声で問う。

普段の冷徹な表情のままなのに、どこかぎこちなく見える。

「俺、焼き鳥食べたい!」

すぐに家頼が元気よく手を挙げる。

子供の頃と変わらないその明るさに、思わず笑ってしまった。