夕日の赤に照らされた横顔は、今までの冷徹な彼とはまるで違って見えた。

心臓が跳ねる。これは夢だろうか――

その時、不意に家頼が私の前に立ちふさがった。

「待て待て。真白はまだ十八歳なんだぞ。お酒なんて飲めないのに、なんで飲みに誘うんだよ。」

真白を庇うように言う声は、優しいけれどどこか棘がある。

「……えっ、いや、ごめん。」

素直に謝るところが、いかにも家継らしい。

いつも冷静で感情を表さない彼が、こんなふうに引き下がるのは珍しかった。

「だったら、どこか食事でも……」

口ごもるように付け加えた家継の言葉に、胸がときめく。

けれどその直後、家頼が声を上げた。

「あー! 抜けがけかよ。俺だって真白とご飯食べたい。」

わざとらしい大げさな仕草に、思わず笑いがこみ上げる。