鬼封じの姫は、禁じられた恋に囚われる

帰り道、家頼がぽつりと漏らす。

「兄貴……知らない間に、頼もしくなってたな。」

弱った体で笑うその横顔に、胸が締め付けられる。

それは私も同じ思いだった。

幼い頃から知る家継が、今や榊家を背負い、民の安寧のために立ち続ける姿は、ただ眩しく誇らしかった。

背後では、まだ祈り続ける声が風に乗って響いてくる。

その強さと優しさに、私たちはそっと背を押されながら歩いた。

その夜、私はなぜか胸がざわついて眠れなかった。

布団に身を横たえても、汗ばむほどの熱気がまとわりつき、まぶたを閉じればすぐに闇へと引き込まれる。

「うう……」

呻いた私の前に、夢の中でひとりの女が立っていた。

ぼんやりとした輪郭、しかしその存在感はやけに鮮烈で、夢の登場人物とは思えない。

冷たい空気が肌を刺し、背筋に嫌な震えが走った。