その笑顔にどれほど救われたか知れない。

だが一方の家継は、既に当主としての修行に身を投じ、鬼封じの「鎮魂の術」を習い始めていた。

冷たく見える態度は、私に構う余裕などないことの証。

――それでも私は、家継の背中に惹かれずにはいられなかった。

強く、冷徹に見える彼こそが、私を支えてくれる唯一の存在のように思えてしまったのだ。

当主としての責任と、女としての想い。

その狭間で、私は次第に孤独を抱えるようになっていった。

榊家の双子には、生まれながらに不思議な力が宿っていた。

兄の家継は炎を操る才を持ち、燃え上がる火を自在に鎮める姿は、幼い私の目にはまるで神のように映った。

人々もまた「当主となるべき器」として彼を仰ぎ見ていた。

けれど、本当に強さを感じさせたのは弟の家頼だった。