鬼封じの姫は、禁じられた恋に囚われる

そう囁いて、彼は再び唇を重ねてきた。

軒下に寄せる雨音の中、世界は二人だけのものになっていった。

雨が小雨に変わった頃、家継が空を仰ぎながら言った。

「帰るなら、今のうちかな。」

その瞬間、私はくしゃみをしてしまった。

「寒い?」

家継が人差し指を立てると、そこに小さな炎が揺らめいた。

「これなら温かいだろ。」

その柔らかな光を掲げながら、私たちは山道を登っていった。

濡れた石段に火の明かりが反射し、二人の影を長く伸ばしていく。

神社に辿り着くと、拝殿の前に一人の影があった。

「……家頼?」

びしょ濡れのまま立ち尽くす姿に、思わず足を止める。

家継が駆け寄ると、家頼はその場にしゃがみ込んだ。

「よかった……真白の帰りが遅いから、心配してたんだ。」