守られるのではなく、守る立場――。父の最期の言葉が脳裏に蘇る。

『真白。おまえが当主だ。』

「でも、真白ちゃんは女の子なんだ。二人が真白ちゃんを守ってあげてよ。」

木戸さんの言葉に、二人はほぼ同時に微笑んだ。

「心得ています。必ず守ります。」

家継が短く、けれど力強く告げる。

「真白は俺が守りますから!」

家頼は明るく言い切り、その真剣な眼差しに思わず胸が熱くなる。

――二人が守ってくれる。

その言葉が、どれほど心強いことか。

私は頷きながらも、胸の奥で小さな波が立つ。

守られることが嬉しいはずなのに、私は本当は「巫女」や「当主」ではなく、一人の女として見てほしい――そんなわがままな願いを隠していた。

「よかった。本当、真白ちゃんの主が、紅蓮神社の双子でよかったよ。」