「紅蓮神社の双子って、真白ちゃんが“主”って言ってた？」

「はい。私が……橘家当主ですから。」

口にした瞬間、胸に重みがのしかかる。日常の中でも、決して逃れられない宿命。

「そうか。いや、信頼できる人ならいいけど……まだ成人になってない真白ちゃんに、お酒は飲ませてないだろうね。」

木戸さんの声音は優しくもどこか父親めいていて、胸がじんと熱くなる。

「はい、大丈夫です。」

家継が代わりに答えると、木戸さんは満足そうに頷き、私たちの席の隣に腰を下ろした。

「なんていうか、真白ちゃんは榊家と運命共同体なんだろ？」

「はい。」

私は冷静に答えたが、心の奥に小さな波紋が広がる。

「本来なら橘家の当主である真白ちゃんが、榊家の双子を守るのが筋なんだろうけどな。」

その言葉に、思わず息を呑んだ。