だけど同時に、苦しくなる。

3人でいるのに、3人じゃない。

私の心はいつも二つに引き裂かれてしまうのだ。

その時、お店のドアが開き、ひょいと顔をのぞかせた人影に私は目を見張った。

「あれ? 真白ちゃん。」

「……あ、木戸さん。」

そこに立っていたのは、家の隣に住む木戸さんだった。

両親を亡くしてからというもの、何かにつけては心配して声をかけてくれる、心優しい隣人だ。

「おやおや、こんなところで会うとはなぁ。一緒にいるのは?」

木戸さんが視線を向ける。

「ああ、紅蓮神社の双子です。」

私が答えると、家継も家頼もきちんと席を立って頭を下げた。

「初めまして、榊家の家継です。」

「家頼です。いつも真白がお世話になってます。」

律儀に挨拶する二人に、木戸さんは目を丸くし、次の瞬間に頷いた。