「真白は?」

二人の視線が同時に注がれる。

胸がドキリと跳ねた。

どうしてこんなに、兄弟の間に立たされると息苦しいのだろう。

「……じゃあ、焼き鳥で。」

そう答えると、家頼が嬉しそうに笑い、家継は黙って頷いた。

夜風に乗って漂う香ばしい匂いが、心を少し和ませる。

「いらっしゃい!――おお、双子か。」

暖簾をくぐった途端、店主の声が響いた。

榊家の兄弟はこの辺りでは顔が知られているらしく、常連客のように迎えられる。

「紅蓮神社は儲かってるのか?」

笑いながら差し出された言葉に、私は一瞬、息をのんだ。

鬼を封じる聖域を、そんな軽い調子で語られることに。

けれど家継は淡々と答える。

「ブームは去りましたね。昔は随分と人が来ていたようですが。」