私が生まれた橘家は、古より鬼を封じる榊家に仕えてきた家柄だった。
幼い頃の私は、榊家の屋敷に通っては双子の兄弟――兄の家継と、弟の家頼と共に遊んでいた。
二人は同じ顔を持ちながらも、性格も雰囲気も正反対だった。
「いいかい、真白。おまえは家継と家頼、両方に仕えるのだよ。」
そう諭す両親の言葉を、幼い私はよく分からないままに胸に刻んだ。
ただ従順に、榊家に仕えることが私の運命なのだと信じていた。
しかし、やがて少女から大人へと変わりゆく頃――私は気づいてしまった。
冷静沈着で感情を見せない兄・家継に、いつしか恋をしていたのだ。
少し長めの黒髪を後ろで束ね、誰にも寄りつかせぬ冷ややかな眼差し。
それでいて、ふとした瞬間に垣間見せる優しさに、胸が締め付けられた。
幼い頃の私は、榊家の屋敷に通っては双子の兄弟――兄の家継と、弟の家頼と共に遊んでいた。
二人は同じ顔を持ちながらも、性格も雰囲気も正反対だった。
「いいかい、真白。おまえは家継と家頼、両方に仕えるのだよ。」
そう諭す両親の言葉を、幼い私はよく分からないままに胸に刻んだ。
ただ従順に、榊家に仕えることが私の運命なのだと信じていた。
しかし、やがて少女から大人へと変わりゆく頃――私は気づいてしまった。
冷静沈着で感情を見せない兄・家継に、いつしか恋をしていたのだ。
少し長めの黒髪を後ろで束ね、誰にも寄りつかせぬ冷ややかな眼差し。
それでいて、ふとした瞬間に垣間見せる優しさに、胸が締め付けられた。



