竜胆が帰ってきたのは明くる日の明け方で、酔っ払ったあやかしたちが酒瓶を抱えてぐーぐー寝ている様に呆れていたが、執事から話を聞きそのままに好きにさせておいたらしい。
「明るくなって慌てて山に帰っていったよ」
「そうですか」
その様子を想像して翠子はくすくすと笑った。
「竜胆さま……」
翠子は竜胆の手を取り、自分のお腹にあてた。
「私たちの子が、ここに」
ハッとしたように目を見開いた竜胆は、弾けるように笑った。
「毒の臭いをこの子が教えてくれたんだと思います」
「そうか。龍の子だからな」
「ええ、そうですね。きっと誰よりも強い子です」
次の年、翠子は玉のような男の子を産んだ。
竜虎と名付けられた男子は、ちょうど心臓あたりに龍の印をもっていた――。
―完―



