龍が言うことには……

 とはいえ翠子の気持ちは落ち着いている。

「いってらっしゃい」

 満面の笑みで竜胆を見送りながら、そっとお腹に手をあてた。

 昨日、翠子のお腹には子どもがいるとわかった。討伐に出かける竜胆に心配かけたくなくて戻ってから報告するつもりでいる。

(この子を守らなくちゃ)

 なにがあっても、月夜野家の一員としてこの家を守り抜くと固く誓う。



 一週間後、翠子は竜胆から届いた手紙を開いた。

 新聞には京の都を揺るがすほどの激戦が報じられているというのに、竜胆の手紙は淡々としたものだった。

 ただ、もう少しかかりそうだと書かれた一文が、その戦いの過酷さを物語っている。

 彼が龍の眷属で強いからといっても不死身なわけではない。怪我もするし、竜胆の体にはたくさんの傷痕がある。命はひとつしかないのだ。

 ちゃんと眠れているのだろうか。食事は取れているのだろうか。怪我は? 心配事が次々と湧いてきて胸が締め付けられるように苦しい。

(竜胆さま、どうぞご無事で)

 手紙を胸に抱いて祈る。それしかできない自分がもどかしかった。

「若奥様、食事の用意ができました」

「はい」