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しかし、幸せはその分だけ大きな不安を呼び寄せる。
京の都で凶悪な悪鬼の集団が暴れ回っているという報せが届き、竜胆率いる特殊防衛隊の出動が決まった。
「なるべく早く戻る。十分な気をつけるんだぞ?」
「はい。気をつけて」
翠子の首にかけてある笛を確認し「何かあれば、真っ先にこの笛を吹けよ」と念を押されて、密かに苦笑する。
夕べからこれで五回目だ。笛を吹けば裏山から天狗たちが駆けつけるのを確認するために、一度は実際に吹いて天狗や狸男に銀狐らが集まり部屋があやかしでぎゅうぎゅうになったりした。
「しかし、明るいうちはやつらの動きは鈍い。不自由だとは思うが家の中で過ごしてくれるか?」
翠子は笑って頷いた。
「執事も、下男たちもいますし、外出は控えますから心配しないでください」
もちろん不安がないわけじゃなかった。
柊木の叔父は投獄されてはいるが、子爵家にいる愛香は相変わらず翠子への憎悪を隠さない。子爵家は位こそ低いが資産家で、愛香は何不自由なく暮らしているという。なにを企んでいるかわからない。
しかし、幸せはその分だけ大きな不安を呼び寄せる。
京の都で凶悪な悪鬼の集団が暴れ回っているという報せが届き、竜胆率いる特殊防衛隊の出動が決まった。
「なるべく早く戻る。十分な気をつけるんだぞ?」
「はい。気をつけて」
翠子の首にかけてある笛を確認し「何かあれば、真っ先にこの笛を吹けよ」と念を押されて、密かに苦笑する。
夕べからこれで五回目だ。笛を吹けば裏山から天狗たちが駆けつけるのを確認するために、一度は実際に吹いて天狗や狸男に銀狐らが集まり部屋があやかしでぎゅうぎゅうになったりした。
「しかし、明るいうちはやつらの動きは鈍い。不自由だとは思うが家の中で過ごしてくれるか?」
翠子は笑って頷いた。
「執事も、下男たちもいますし、外出は控えますから心配しないでください」
もちろん不安がないわけじゃなかった。
柊木の叔父は投獄されてはいるが、子爵家にいる愛香は相変わらず翠子への憎悪を隠さない。子爵家は位こそ低いが資産家で、愛香は何不自由なく暮らしているという。なにを企んでいるかわからない。



