その夜、彼は翠子の背中から腰の辺りに口づけをした。
翠子には見えないけれど、そこには竜胆と同じ龍の印がある。
昔、赤いトカゲを助けたときに、天から響く〝アリガトウ〟という不思議な声を聞いた話をすると、竜胆はうれしそうに笑った。赤いトカゲではなく、それは卵から孵ったばかりの子どもの龍だったらしい。
そのときに龍の宝珠を授かり、翠子は知らないうちにすべてのあやかしから守られる力を授けられたのだ。
リンが探していた龍の印を持つ娘。
それは翠子だった。
「翠子……」
竜胆の唇が翠子の白い背中を滑っていく。
「くすぐったい」
体をよじってくすくす笑うと、竜胆は這いあがるようにして今度は翠子の上になった。
こんなときの彼の瞳は熱を帯びていて、胸はどきどきと高鳴り息も苦しくなって、とろとろに溶けてしまいそうになる。
「翠子、愛してる」
じっと見つめられながらそんなことを言われると、照れくささと嬉しさが入り混じりどうしていいかわからなくなる。
翠子の心は、きらきらと美しく、どこまでも甘くて温かな、幸せという名の宝石で満ちていた。



