龍が言うことには……

「君はここで、どう過ごしていたんだ? 翠子さん、正直に言うといい」

 翠子はまっすぐに竜胆を見つめて頷いた。

「ここでは使用人と一緒に働いていました。叔父には父が残した借金があると言われ、十八になったらこの家を返すと言われました。なのに父が残した借金があるからと殴られて」

 淡々と翠子は話す。願い叶わず、男爵と結婚するように言われたと。

 竜胆は怒鳴りたい気持ちを抑えるようゆっくりと息を吐き、柊木を睨んだ。

「どういうことか」

「そ、それは……翠子が言うとおり、兄は借金だらけで」

 そこで仲人として同行してもらった侯爵が一歩前へ出た。

 侯爵家は銀行を営んでいる。

「柊木さん、それはおかしい。先代はうちの銀行の顧客です。むしろ先代の残した資産を減らしているのはあなたのほうじゃありませんか。あなたは私に翠子さんが十八になるまで資産を預かっていると言いましたよね?」

 すべて調べて今日を迎えている。柊木は翠子を騙し先代の財産を使い込んで、彼女を虐待していたのだ。

 竜胆が密かに呼んでいた警察がわらわらと駆け込んできた。

 そして柊木に逮捕状を差し出す。

「柊木伯爵。あなたを横領の罪で逮捕します」