龍が言うことには……

 理由はどうあれこれまで生きてこれたのは、この山のあやかしが優しく迎えてくれたからだ。そうでなければとっくにこの山で死に絶えていたに違いない。

「お前はほんとに遅いな」と男の姿になっている狸が翠子に背中を向けた。

「乗れ。負ぶって行ってやる」

 山の麓では寒さに震えながら皆が待っている。遠慮せずに狸男の背中に乗った。

「ありがとう狸さん、みんなも本当にありがとう」