龍が言うことには……

「そうそう。干しイモを入れておいたんだったわ」

 山に登るときに忘れないよう、袋に沢山入れて括り付けておいたのをすっかり忘れていた。紐を解いて河童にあげると河童たちは大喜びでイモを食べながらついてくる。

 いつの間にか木の上には烏天狗もいるし男に化けた狸も現れて、結構な大所帯になる。

「待ちくたびれたよ」

 山姥は熊岩に腰かけていた。

 翠子を見つけるとひょいと岩から飛び降りる。見た目は普通の人間だが、あやかしなので恐ろしく身軽だ。

「お待たせしました。では一緒に山を下りましょう」

「はいはい」

 銀狐が怪訝そうに首を傾げた。

「もう下りるのかい? いったいお前たちはなにをしているんだよ」

 翠子もよくわからない。今はリンの指示に従うだけだ。

「龍の考えが狐ごときにわかるはずもなかろう」

 山姥が鼻で笑い銀狐が牙をむいて怒る様子をクスッと笑い、翠子はふと思った。

「そういえばどうして私には皆優しいの? オオカミも私を襲ったりしないし」

「お前からはいい匂いがするんだよ」

 山姥に言われて自分の腕の匂いを嗅いでみたがよくわからなかった。