「大丈夫です。これは私のものじゃなくて、こっそり作ったものだから」
お客様が到着したのか、玄関の方角から賑わう声が聞こえてくる。いつもそうだ。お客様が来ると翠子は邸を追い出される。
翠子の叔父と叔母である伯爵夫婦は、翠子が客人の目に触れることを恐れている。対外的には、翠子は両親を亡くしたショックで病気となり、人前には出られなくなったとされいる。そこにうっかり女中のようななりをして顔を出されては困るというわけだ。
ある女中からそれを聞いたとき、翠子は苦笑した。
アカギレだらけの手に痩せ細った体。こんな娘を見ていったい誰が伯爵令嬢だなどと思うだろう。今や女中や下男からも虐げられているというのに。
それゆえにしずくの優しさは心に深く沁みるし、彼女を守りたい。
「さあしずく、早く行って」
「はい……」
しずくは振り返りながら邸の中に戻って行った。
(ありがとう、しずく)
翠子は心の中で礼を言い、彼女がくれた蓑を被って暗い山を登って行く。
お客様が到着したのか、玄関の方角から賑わう声が聞こえてくる。いつもそうだ。お客様が来ると翠子は邸を追い出される。
翠子の叔父と叔母である伯爵夫婦は、翠子が客人の目に触れることを恐れている。対外的には、翠子は両親を亡くしたショックで病気となり、人前には出られなくなったとされいる。そこにうっかり女中のようななりをして顔を出されては困るというわけだ。
ある女中からそれを聞いたとき、翠子は苦笑した。
アカギレだらけの手に痩せ細った体。こんな娘を見ていったい誰が伯爵令嬢だなどと思うだろう。今や女中や下男からも虐げられているというのに。
それゆえにしずくの優しさは心に深く沁みるし、彼女を守りたい。
「さあしずく、早く行って」
「はい……」
しずくは振り返りながら邸の中に戻って行った。
(ありがとう、しずく)
翠子は心の中で礼を言い、彼女がくれた蓑を被って暗い山を登って行く。



