翠子は十八になれば叔父が伯爵邸を返してくれると信じていたようだが、強欲な柊木は絶対に伯爵家を手放さないだろう。先代の伯爵が残した借金というのもおそらく嘘だ。小さな娘をだますのは簡単に違いない。
誕生日の夜に結果を聞くつもりで山の洞窟に行ったのだが、翠子は現れず、結局笛を渡した夜を最後に会えずにいる。
一昨日の夜、柊木の邸に行き様子を窺ってみたが、邸は寝静まっていた。
毎晩のように山に行き、烏天狗に聞いているが笛の音は聞こえないという。最終手段として時期を窺っているのかもしれないが。
(翠子、辛い思いも後少しだ)
細いうなじを見せてうつむく翠子が脳裏に浮かぶ。
もう少しだ。見えない月に向け竜胆は訴えた。
必ず助けると。
誕生日の夜に結果を聞くつもりで山の洞窟に行ったのだが、翠子は現れず、結局笛を渡した夜を最後に会えずにいる。
一昨日の夜、柊木の邸に行き様子を窺ってみたが、邸は寝静まっていた。
毎晩のように山に行き、烏天狗に聞いているが笛の音は聞こえないという。最終手段として時期を窺っているのかもしれないが。
(翠子、辛い思いも後少しだ)
細いうなじを見せてうつむく翠子が脳裏に浮かぶ。
もう少しだ。見えない月に向け竜胆は訴えた。
必ず助けると。



