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 この国の政治は帝を中心として貴族たちが司っている。

 本会議の前に伯爵以上の上位貴族が十名ほど集まり、ひと月後の年始の行事に向けての話し合いを終えたところだった。

「柊木伯爵、この度はおめでとうございます」

 ある侯爵が柊木伯爵に祝辞を述べた。なにがあったのかと場が色めき立つ。

「実は引き取っていた姪にようやく貰い手が見つかりそうで」

 柊木伯爵がホッとしたようにため息を吐く。