伊勢神宮の参道は、霊気の霧に包まれていた。夏の暑さが和らぐ夜、五十鈴川のせせらぎが静寂を破る。三人は神宮に到着し、集まった巫女たちと共に結界を強化していた。瑠佳の紅い髪が月光に映え、真玖は黒髪を結い直し、氷翠は護符を手にそわそわと歩く。
「ここが最後の砦ね」と真玖が呟いた。彼女の声には、姉としての重圧と決意が滲む。「キアサージが来るわ。準備はできてる？」
瑠佳は刀の柄を握り、頷いた。「絶対に守る。神様も、この場所も」
氷翠が笑って肩を叩く。「瑠佳ならできるよ！ だって、型破りな巫女だもん！」
その言葉を遮るように、地響きが響いた。空が暗くなり、五十鈴川が不気味に波打つ。黒海軍の艦影が地平線に現れ、目の紋章が月光に浮かぶ。そして、霧の中心にキアサージが現れた。黒曜石の鎧が光を吞み、灰色の瞳が神宮を睥睨する。黒いマントが風に舞い、彼の存在だけで霊気が萎えた。
「神々の時代は終わる」キアサージの声は雷鳴の如く響き、結界が軋んだ。「巫女よ、お前たちの抵抗は無意味だ」
瑠佳は刀を抜き、叫んだ。「無意味なんかじゃない！ あんたが何を企もうと、この場所は渡さない！」
キアサージが一歩踏み出すと、地面にひびが入り、結界が一撃で粉砕された。黒海軍が雪崩れ込み、巫女たちの叫びが響く。真玖が刀を振り、氷翠が護符を放つが、敵の数は圧倒的だ。キアサージは動かず、ただ見下ろす。彼の一瞥が瑠佳を捉え、彼女は突風のように吹き飛ばされた。
「瑠佳！」氷翠が叫び、護符を投げるが、キアサージの指先が動くだけで爆発は掻き消される。「お前も神々の傀儡にすぎん」と彼は嘲った。その声は、瑠佳の心を凍らせ、彼女達に彼の絶対的な恐怖と魅力を植え付ける。彼の存在感は、神宮全体を支配し、瑠佳の決意すら霞ませる。
瑠佳は神宮の奥、神聖な鏡の前にたどり着いた。鏡に触れると、ペンダントが灼熱し、ビジョンが現れる――紅の鳳凰、再生を司る神の炎が彼女の内に宿る。瑠佳の目が輝き、決意が再燃した。「私は...負けない！」
瑠佳は紅の鳳凰の力を全開にし、黒海軍に突進した。刀は紅の炎に包まれ、舞うように敵を切り裂く。護符が嵐のように舞い、爆発するたびに影の兵士が消滅。彼女の動きは巫女の型を脱し、武術と神聖な力が融合した型破りな戦闘だ。地面が焦げ、空が紅く染まる。巫女たちは「こんな巫女、見たことない！！！」と息を呑む。彼女達はその壮絶さに興奮するが、キアサージは動かず、彼女の力を「神々の無駄な抵抗」と冷笑。彼の存在感が瑠佳の輝きを上回り、全ての中心に君臨する。
キアサージが一歩進むと、黒いエネルギーが神宮を揺らし、瑠佳は再び吹き飛ばされた。真玖と氷翠が駆け寄り、三人は再び立ち上がる。「まだ...終わらない！」瑠佳の叫びが夜を切り裂いた。