天水神社の壊滅から数日後、出雲大社の広大な境内に三人は召喚された。古びた神楽殿の奥で、巫女評議会の長老たちが待っていた。長老の一人、白髪の巫女・寂雷が、重々しい声で告げる。
「キアサージと黒海軍は世界中で神社仏閣を破壊している。ヨーロッパの教会、中東のモスク、インドの寺院…神々の力が弱まっている」
瑠佳の拳が震えた。「なぜそんなことを.....?」
寂雷の目が細まる。「わからぬ。だが、瑠佳、そなたの紅の力は特別だ。神の賜物か、異端か...それを見極める必要がある」
真玖が冷静に言った。「次の標的は高野山。そこを防ぐのが私たちの役目です」
氷翠が笑う。「よし、ぶっ倒しに行こう!」
評議会は三人に高野山の防衛を命じた。瑠佳の胸元のペンダントが熱を帯び、不安と決意が交錯する。「私の力…本当に役に立つのかな?」
出雲を後にし、三人は高野山へ向かう道中の古い修行場に立ち寄った。岩山に囲まれた円形の空間に、風化した石碑が立つ。真玖が瑠佳に告げた。「瑠佳、そなたの力はまだ表面しか出ていない。巫女の型を捨て、本当の力を引き出さねばキアサージには勝てん」
瑠佳は眉をひそめた。「型を捨てる? でも、それって巫女として正しいの?」
「正しさより強さよ」と真玖が断言。「キアサージを倒すには、常識を破るしかない。」
氷翠が笑う。「それ、瑠佳の得意分野じゃん!」
訓練が始まった。瑠佳は刀を手に、伝統の型を捨てた。動きはぎこちなかったが、徐々に自由になる。氷翠が相手役を務め、護符を放つ。「本気で行くよ!」緑の光が瑠佳を襲うが、彼女は大きく迂回し、側面から攻撃。
氷翠が驚く。「ちょ、速い!」
真玖が頷く。「その調子よ。型破りな戦い方こそ、そなたの真骨頂だ」
瑠佳の動きが加速し、刀が風を切る。紅のエネルギーが迸り、地面を焦がす。護符が炎のように舞い、爆発が岩を砕く。彼女の戦いは巫女の舞を超え、武術と神聖な力が融合した型破りなものだった。氷翠が後退し、「こんな巫女、ありえない!」と叫ぶ。彼女はその自由さに圧倒される。
だが、キアサージの幻影が現れ、「その程度の力では俺を止められん」と嘲る。彼の存在感は瑠佳を上回り、彼女達に恐怖と魅力を植え付ける。
訓練の後、瑠佳は息を切らした。「これでも...足りない?」
真玖が厳しく言った。「まだだ。キアサージの力は神々の領域を超える。次の試練で、そなたの力を完全に覚醒させる」
その夜、瑠佳の夢にキアサージが現れた。海の上に立ち、黒いマントを翻す。「巫女よ、なぜ神々のために戦う? 彼らはお前を見捨てるぞ」その謎めいた言葉は、瑠佳の心を揺さぶり、キアサージの圧倒的な存在感を際立たせた。彼女は目を覚まし、ペンダントを握りしめた。「何を言おうと...私は負けない!」