* * *

 移動して、校庭のベンチに座る。
 文化祭前日の校庭は、華やかに飾りが施され、別世界のようだった。

 「さっきの、スマホ見たよね?」
 「あ……うん、ごめん」

 優真は柔らかく首を横に振る。

 「……妹がいたんだ。美羽っていう」

 そう呟いた、優真の顔はとても優しく、そしてとても、辛そうだった。