* * *

 ——ふとよぎったのは、あの頃の自分の姿だった。

 「大丈夫」と言っていた自分。
 誰にもバレないように、笑顔をつくっていた自分。

 なのに、優真には全部、見抜かれていた。

 隠すのが得意だと思っていたのに、なんで優真にはバレてしまうんだろうと、不思議に思っていた。

 (優真は、私が落とす花びらを見てたんだ)

 そう気付いた瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。

 見過ごせないと、気付いたら助けたいと、そう言っていた優真の言葉が繋がっていく。
 優しすぎると感じる行動にも辻褄があった。

 だけど、

 当人の優真が、あんなにたくさんの花びらをまとっている姿を見て、麗衣は、どうしようもなく——心配になってしまった。

 (……優真こそ、大丈夫なの?)