花びらが舞う世界で、君の涙が未来を照らす

 * * *

 ──そして、それが現実だったと知ったのは、数日後のことだった。

 リビングの隅。

 いつもより声を荒げる父の言葉が、部屋に響いていた。

 「もう泣くなって。いつまでも引きずってても仕方ないだろ。美羽だって、そんなの望んでない」

 その声は、どこか苛立ちと悲しみが混ざっていて。
 口調は普段と同じでも、無理やり絞り出しているのが分かった。

 そして、その父の足元に——床に広がるように、無数の花びらが散っていた。

 優真は息をのんで、目を凝らす。

 「……ねえ、足元……いっぱい落ちてる」

 ぽつりと呟いたその声に、母は目を伏せたまま顔を上げる。

 「……何の話?」

 不思議そうに、そう返された瞬間、優真は気づいた。

 これは、自分にしか見えていないのだと。

 父にも、母にも、この花びらは見えない。

 なのに、確かにそこにあって——優真の目には、痛いほどはっきりと映っていた。