花びらが舞う世界で、君の涙が未来を照らす

    * * *

 体調を崩した翌日、放課後の帰り道。

 昨日よりは少しマシだけど、だるさはまだ身体の奥に残っていた。

 それでも今朝も5時に起きて、いつも通りの朝を過ごし、変わらない一日をやり過ごした。

 蒸し暑い風が頬にまとわりつく帰り道、遠くで今年最初の蝉の声がかすかに響いている。

 今日はバイトがない。
 それだけが、唯一の救いだった。

 残ってお喋りをする友人たちの中にいる気力もなくて、まっすぐ家に帰ろうと歩き出して校舎を出た。

 (……なんか、ずっと疲れてるな)

 足取りは重く、でも誰にも見せないように、背筋だけはしゃんと伸ばしたまま。

 空を見上げても、何も変わらないそんな一日だった。

 足元に、薄く透けた花びらがひとひら、静かに舞い降りる。

 その花びらは、風にさらわれるように、誰にも気づかれないまま、夕方の帰り道に消えていった。