花びらが舞う世界で、君の涙が未来を照らす

    * * *

 少しだけ呼吸が整って、落ち着きを取り戻したころ——優真が、そっと声をかけた。

 「こういうの、言われるの嫌かもしれないけど。本当に無理しすぎなんじゃない?」

 その言葉に、麗衣はわずかに目をそらした。

 図星だった。でも、認めたくなくて。

 「……そんなことないよ」と言いかけて、喉の奥で言葉が詰まる。

 言い返すには、声が頼りなくて、気持ちもついてこなかった。

 唇をきゅっと結んで、ごまかすようにうつむいた。

 言葉を返す代わりに、お水が目に入り、麗衣はバックを引き寄せて膝の上に置く。

 「……あ、あの、お金、ちゃんと返すから」

 そう言って、麗衣はバッグから財布を取り出した。

 けれど、チャックを開けようとした指先が、かすかに震えていた。

 思うように動かない手元から、ぽろりと財布が落ちる。

 「あっ——」

 地面に落ちた財布がはらりと開いて、その中から学生証が滑り出た。

 裏返ったカードの端に、小さく印字された日付に優真の目が止まる。

 「お水くらい受け取ってよ」

 優真が拾ってくれた学生証を、財布に入れ、そっとそのチャックを閉めて手渡される。

 「……ごめん、ありがとう」

 言われた通りにかばんに財布を片付け、優真を見つめる。

 「必要な無理だから大丈夫。それに、優真が来てくれてすごく心強かったから。大丈夫だよ」
 「そっか」

 優真は、それ以上何も聞かなかった。

 隣に座ったまま、私の体調が戻るまで、その場に一緒にいてくれた。

 ただそこにいてくれるだけで、ひとりじゃないって思えるのが、ありがたかった。