数年後、虹音は学園を去り、別の街で暮らしていた。は再び男装を始め、髪を短く切り、かつての自分を取り戻そうとしていた。だが、彼女の目は以前の輝きを失い、どこか遠くを見ているようだった。
アウグストの暴力は、虹音の心に深い傷を残した。だが、彼女は少しずつ、自分を再構築しようとしていた。レズビアンとしてのアイデンティティは、確かに傷ついた。だが、それは彼女の一部であり、否定されても消えるものではなかった。
虹音は新しい街の公園で、桜の木の下に立った。風が彼女の髪を揺らし、遠くで笑い声が聞こえる。彼女は小さく笑い、呟いた。

「偽りでも、俺の青春は俺のものだ」

その言葉は、かつての檻を破る第一歩だった。