アウグストの指が虹音の制服のネクタイに絡みついた。絵の具の匂いが混じった吐息が耳元に押し付けられる。
「ほら、見ろよ…お前の体はちゃんと反応してるじゃないか」
ズボンのチャックが下ろされる金属音。膝裏が冷たい床に押しつけられたとき、虹音は図書館で触れ合った指先の温もりを思い出した。あの儚げな和虹の手は、今や彼女の肩を釘付けにする凶器と化している。
「っ…やめ…!」
喉奥から絞り出す声は、美術室の壁に吸い込まれていった。アウグストのピストン運動が加速するたび、虹音の背中と床の間に敷かれた水彩画が擦り切れる音がした。完成間近だったはずの共同作品が、汗と体液で滲んでいく。
「良い声だな。女子同士の戯れとは違うだろ? これが現実だ」
腿の内側を伝う液体が、破れたストッキングと混じり合う。突き上げられる度に視界が白く染まり、天井の蛍光灯が虹色に歪んで見えた。あの日、屋上で分け合った傘と同じ七色が、今は神経を逆撫でする。
「ほら、もっと喚け。王子様面してたクセになぁ……」
耳元で炸裂する嘲笑と、腰を打ち付ける肉音。虹音の歯が自分の唇を貫き、鉄錆の味が喉に流れ込んだ。体育倉庫から漏れる文化祭の音楽が、暴力のリズムと重なる。
「ほら、見ろよ…お前の体はちゃんと反応してるじゃないか」
ズボンのチャックが下ろされる金属音。膝裏が冷たい床に押しつけられたとき、虹音は図書館で触れ合った指先の温もりを思い出した。あの儚げな和虹の手は、今や彼女の肩を釘付けにする凶器と化している。
「っ…やめ…!」
喉奥から絞り出す声は、美術室の壁に吸い込まれていった。アウグストのピストン運動が加速するたび、虹音の背中と床の間に敷かれた水彩画が擦り切れる音がした。完成間近だったはずの共同作品が、汗と体液で滲んでいく。
「良い声だな。女子同士の戯れとは違うだろ? これが現実だ」
腿の内側を伝う液体が、破れたストッキングと混じり合う。突き上げられる度に視界が白く染まり、天井の蛍光灯が虹色に歪んで見えた。あの日、屋上で分け合った傘と同じ七色が、今は神経を逆撫でする。
「ほら、もっと喚け。王子様面してたクセになぁ……」
耳元で炸裂する嘲笑と、腰を打ち付ける肉音。虹音の歯が自分の唇を貫き、鉄錆の味が喉に流れ込んだ。体育倉庫から漏れる文化祭の音楽が、暴力のリズムと重なる。



