醜い蜥蜴姫は短命帝に見初められ、龍后となる。~御上の子を身ごもったら、国の守護龍の加護に目覚めました~

  御上。それは妖華国を束ねる最上位の存在で、帝とも呼ばれし強者を指す。帝を輩出する一族は皇龍(こうりゅう)一族とも呼ばれ、龍の妖の血を引いている。妖華国の中心部にある都に宮廷を置きそこで(まつりごと)をしつつ、後宮で暮らす妃達とまぐわってきた。
 妖華国が建国されて以来、途絶える事無く世襲制により帝の座を守り続けてきた彼らだが、ある問題を抱えている事でも知られる。
 それは短命の呪い。建国時、玉条(ぎょくじょう)一族など、敵対していた勢力から龍滅の呪いがかけられた。今もなお彼らの血に脈々と受け継がれくすぶっているせいで、一族の男性は30歳までしか生きられない。

 故に後宮制度が用いられ、皇后を頂点とし中宮、女御、更衣の位を与えられた女性達が、長らく御上からの寵愛を競い合ってきた。ゆえに今もなお一族の血は耐えずに存続している。

 現在、帝の座についているのは鯉白(りはく)。25歳の若者だが寿命まではあと5年。その上未だ子がいない。
 魚子は鯉白の存在については、座敷牢の近くを通る下女などから少しだけ話を聞いている。

(私も、内裏にあがるの? どうせ、見世物にでもするに決まっている……)

 疑問しか感じえず、ボロボロな水色の小袖の布を握りしめる。