「……えぇ。そうよ、少しだけ醜い鱗があったわよ! でもあなたと違って私はこの美貌と異能がある! だからずっと隠してきたのよ!」
「環子」
「醜い姉の様にはなりたくない。己に醜い部分があれば全て姉に押し付けると決めた! それの何が悪いのよっ!」
自暴自棄になったのか、環子は人目をはばからず絶叫する。
「零烙の父から、鱗を持った者は悲惨な道を辿ると言われた……でも、綺麗になったら母上父上達からたくさん愛された! 入内も出来た! 後は御上からの寵愛を得て皇子を産み、皇后になれば私はっ……!」
「……ねえ、本当に懐妊したの? 懐妊したとは思えないけど」
「嘘よ! 皇龍一族の血を引く者から適当に男の赤ん坊を連れてきて、私が産んだとするつもりだったのに! もしかして相手は零烙だと思った?! 誰が相手にするかあんな汚い男!」
喚き散らす環子には、同情は湧かない。だが、彼女もある意味被害者と言えるのではないかといった考えはうっすらよぎる。
姉と同じように父上と母上に嫌われたくない。その思いが彼女を狂気に駆り立てた、と。
「もうよい、連れていけ」
「はっ」
捕縛された環子はそいつが黄龍の加護に目覚めたなんて認めない! と主張を繰り返しながら、護衛達によっていずこかへと連行されていった。
「環子」
「醜い姉の様にはなりたくない。己に醜い部分があれば全て姉に押し付けると決めた! それの何が悪いのよっ!」
自暴自棄になったのか、環子は人目をはばからず絶叫する。
「零烙の父から、鱗を持った者は悲惨な道を辿ると言われた……でも、綺麗になったら母上父上達からたくさん愛された! 入内も出来た! 後は御上からの寵愛を得て皇子を産み、皇后になれば私はっ……!」
「……ねえ、本当に懐妊したの? 懐妊したとは思えないけど」
「嘘よ! 皇龍一族の血を引く者から適当に男の赤ん坊を連れてきて、私が産んだとするつもりだったのに! もしかして相手は零烙だと思った?! 誰が相手にするかあんな汚い男!」
喚き散らす環子には、同情は湧かない。だが、彼女もある意味被害者と言えるのではないかといった考えはうっすらよぎる。
姉と同じように父上と母上に嫌われたくない。その思いが彼女を狂気に駆り立てた、と。
「もうよい、連れていけ」
「はっ」
捕縛された環子はそいつが黄龍の加護に目覚めたなんて認めない! と主張を繰り返しながら、護衛達によっていずこかへと連行されていった。



