「勝負ありだな。余の子を孕んでいるのは弘徽殿女御だった。それに大鵺の言葉から……これは間違いなく黄龍の加護と言えるだろう」
鯉白の静かな声と、周囲のざわめきが聞こえてくる。すると魚子は後ろから袿の裾を引っ張られた。振り返ると環子が震えながら不気味な笑顔を振りまき、右手を伸ばしている。
なにかを握りしめているらしき右手には、黒い煙が発せられていた。
「こ、弘徽殿女御様……お助けいただき、ありがとう、ござ……」
「……っ! 何をする気?!」
慌てて距離を取りつつ、異能で黄金の光の盾を作る。チッと環子の舌打ちが聞こえてくると、素早く鯉白が魚子の肩を抱き寄せた。
「龍滅の呪いをかけようとしても無駄だ。それに本当は、そなたにも蜥蜴の印があったそうだな」
突然知らされた事実に魚子はえ? と小さく漏らすしかない。なぜなら美貌を誇る環子の見た目からはにわかに信じがたいからだ。
「蜥蜴の鱗が黄龍の加護持ちに選ばれる候補である事を知らなかったか? 玉条一族の陰陽師と親しくしていたのに」
「え……? 嘘でしょっ?! 零烙はそんな事言ってなかった!」
魚子からすれば何を言っているのか、さっぱりわからない。
鯉白は護衛に環子を捕縛するように指示を出した。
冷徹な視線を環子に向ける彼には、恐怖以上の感情を抱いてしまう。
「いや、離して!」
捕縛され、じたばたと蜥蜴のように暴れる環子。そんな彼女に魚子は近寄ろうとするも、鯉白に阻止される。
「ねえ、環子! あなた、何をしたの?! あなたにも鱗があったの?!」
鯉白の静かな声と、周囲のざわめきが聞こえてくる。すると魚子は後ろから袿の裾を引っ張られた。振り返ると環子が震えながら不気味な笑顔を振りまき、右手を伸ばしている。
なにかを握りしめているらしき右手には、黒い煙が発せられていた。
「こ、弘徽殿女御様……お助けいただき、ありがとう、ござ……」
「……っ! 何をする気?!」
慌てて距離を取りつつ、異能で黄金の光の盾を作る。チッと環子の舌打ちが聞こえてくると、素早く鯉白が魚子の肩を抱き寄せた。
「龍滅の呪いをかけようとしても無駄だ。それに本当は、そなたにも蜥蜴の印があったそうだな」
突然知らされた事実に魚子はえ? と小さく漏らすしかない。なぜなら美貌を誇る環子の見た目からはにわかに信じがたいからだ。
「蜥蜴の鱗が黄龍の加護持ちに選ばれる候補である事を知らなかったか? 玉条一族の陰陽師と親しくしていたのに」
「え……? 嘘でしょっ?! 零烙はそんな事言ってなかった!」
魚子からすれば何を言っているのか、さっぱりわからない。
鯉白は護衛に環子を捕縛するように指示を出した。
冷徹な視線を環子に向ける彼には、恐怖以上の感情を抱いてしまう。
「いや、離して!」
捕縛され、じたばたと蜥蜴のように暴れる環子。そんな彼女に魚子は近寄ろうとするも、鯉白に阻止される。
「ねえ、環子! あなた、何をしたの?! あなたにも鱗があったの?!」



