◇ ◇ ◇
次の日の明朝。ひんやりとした冷気が漂う中、魚子と透子、他女房2名を乗せた大きな牛車が弘徽殿を出発した。
「女御様ぁ、大丈夫ですかぁ?」
「私は大丈夫です。にしてもこんな明け方から御上は何を……」
あれから鯉白は、ある場所へ来てもらうようにと言われただけ。具体的に何を行うかまでは魚子には知らされていない。
「御上は何か考えがあるのでしょう。それもとっても面白いお考えが」
(面白いお考えねえ……掴みどころのない人だわ)
夜明けの空は、青と紫、橙と様々な色が織りなす複雑な光景を醸し出している。牛車に揺られて向かった先は、内裏から少し離れた山のふもとだった。
透子達の力を借りて牛車から降りると、ある人物がいるのに出くわす。
(環子!)
すぐに気が付いたのか、橙色を主とした袿を纏う環子は女房達を引き連れて魚子の元へ寄ってくる。すぐに透子達が間に割って入った。
「あら、蜥蜴。あなたも呼び出されたの?」
「? どこに蜥蜴がいらっしゃるのですかぁ? もしかして、踏みつけてしまったかしら」
「……っ! 無礼な……‼」
とぼけた透子に環子は早速怒りを露わにしている。そんな彼女を魚子はもう鱗はないのに蜥蜴呼ばわりとは。と呆れた目で見ていると、貴族達と同じような白い狩衣を纏い、白馬に跨った鯉白が現れる。
「よし、全て揃ったな。今から弘徽殿女御と梅壺更衣には、ある妖を退治してもらう!」
次の日の明朝。ひんやりとした冷気が漂う中、魚子と透子、他女房2名を乗せた大きな牛車が弘徽殿を出発した。
「女御様ぁ、大丈夫ですかぁ?」
「私は大丈夫です。にしてもこんな明け方から御上は何を……」
あれから鯉白は、ある場所へ来てもらうようにと言われただけ。具体的に何を行うかまでは魚子には知らされていない。
「御上は何か考えがあるのでしょう。それもとっても面白いお考えが」
(面白いお考えねえ……掴みどころのない人だわ)
夜明けの空は、青と紫、橙と様々な色が織りなす複雑な光景を醸し出している。牛車に揺られて向かった先は、内裏から少し離れた山のふもとだった。
透子達の力を借りて牛車から降りると、ある人物がいるのに出くわす。
(環子!)
すぐに気が付いたのか、橙色を主とした袿を纏う環子は女房達を引き連れて魚子の元へ寄ってくる。すぐに透子達が間に割って入った。
「あら、蜥蜴。あなたも呼び出されたの?」
「? どこに蜥蜴がいらっしゃるのですかぁ? もしかして、踏みつけてしまったかしら」
「……っ! 無礼な……‼」
とぼけた透子に環子は早速怒りを露わにしている。そんな彼女を魚子はもう鱗はないのに蜥蜴呼ばわりとは。と呆れた目で見ていると、貴族達と同じような白い狩衣を纏い、白馬に跨った鯉白が現れる。
「よし、全て揃ったな。今から弘徽殿女御と梅壺更衣には、ある妖を退治してもらう!」



