しばらくして環子の元へ、弘徽殿へ向かっていた女房達が全員揃って帰参した。
「おかえり。どうだったか教えてくれる?」
「更衣様。やはり弘徽殿の中へは入れませぬ……」
弘徽殿の中に入るには、護衛へ必ずどこから来たのかを告げなければならない。これは弘徽殿にかかわらず、内裏全ての建物に言える事ではあるが。
当然嘘をつけば異能で見破られてしまう。
「梅壺から来たといえばすぐ帰らされるんですぅ!」
「しかも、女御様方のお住まいから来られた女房達も同じように……」
「更衣様、いかがなさいましょう……」
すっかり自信を無くして半泣き状態な女房達へ、環子は落ち着きなさい! と叱咤するだけ。そんな彼女の脳裏にはある人物の存在が浮かび上がっていた。
(彼を呼ぶしかないわ。あの見た目は嫌だけど。私は美しくなくちゃいけないのよ……!)
「おかえり。どうだったか教えてくれる?」
「更衣様。やはり弘徽殿の中へは入れませぬ……」
弘徽殿の中に入るには、護衛へ必ずどこから来たのかを告げなければならない。これは弘徽殿にかかわらず、内裏全ての建物に言える事ではあるが。
当然嘘をつけば異能で見破られてしまう。
「梅壺から来たといえばすぐ帰らされるんですぅ!」
「しかも、女御様方のお住まいから来られた女房達も同じように……」
「更衣様、いかがなさいましょう……」
すっかり自信を無くして半泣き状態な女房達へ、環子は落ち着きなさい! と叱咤するだけ。そんな彼女の脳裏にはある人物の存在が浮かび上がっていた。
(彼を呼ぶしかないわ。あの見た目は嫌だけど。私は美しくなくちゃいけないのよ……!)



