「いきなりなんなのですか? 私は妃ではないのに……」
「話せばわかるさ。そうカリカリせんでもいい」
鯉白の高貴で余裕綽々な表情は、魚子の中で猜疑心を高めていく。
「まず、この地になぜ後宮があるのか……そして我々皇龍一族についての説明はいるか?」
「……それは大丈夫です。下女の噂話などでおおむね把握しております」
「わかった、ではそこは省くとしよう。次はそなたの身体を覆う蜥蜴の鱗についてだ」
一瞬にして表情が引き締まったものへと切り替わり、鯉白の言葉が、脳内にぐさりと差し込まれた。この人は一体何を知っているのかを知りたい。知的好奇心が魚子の胸の中から湧き出て来る。
「この妖華国の守護神は知っているか?」
「黄龍様、でございますよね。下女が毎朝黄龍様に祝詞を挙げているのをうっすら聞いていましたから」
黄龍。黄金色に輝く鱗を持つ龍で、妖華国を守護する聖なる存在だ。龍の中でも最上位とされ、皇龍一族の血に組み込まれている龍とは比べ物にならない力を誇る。
「担当直入に言えば、その蜥蜴の鱗は黄龍とつながりがある」
「え……?」
この黒い鱗がどうして黄金の鱗を持つ龍と繋がりがあると言えるのだろうか? びっしりと黒い鱗に包まれた自身の右腕を眺めながら魚子は口をとがらせた。
「信じていないようだな。その鱗は黄龍の加護を受ける者の候補である事を示す印。黄龍の加護は、全異能の上位に立つ存在だ」
「……は?」
「その鱗を持つ者と結ばれれば……我々皇龍一族にかけられた龍滅の呪いも消え去る」
そこで、だ。と低さを増した声音で切り出した鯉白は、魚子を真っすぐに見つめた。
「どうか、余の妻になってくれ。そなたの力で我々を救ってほしい」
「話せばわかるさ。そうカリカリせんでもいい」
鯉白の高貴で余裕綽々な表情は、魚子の中で猜疑心を高めていく。
「まず、この地になぜ後宮があるのか……そして我々皇龍一族についての説明はいるか?」
「……それは大丈夫です。下女の噂話などでおおむね把握しております」
「わかった、ではそこは省くとしよう。次はそなたの身体を覆う蜥蜴の鱗についてだ」
一瞬にして表情が引き締まったものへと切り替わり、鯉白の言葉が、脳内にぐさりと差し込まれた。この人は一体何を知っているのかを知りたい。知的好奇心が魚子の胸の中から湧き出て来る。
「この妖華国の守護神は知っているか?」
「黄龍様、でございますよね。下女が毎朝黄龍様に祝詞を挙げているのをうっすら聞いていましたから」
黄龍。黄金色に輝く鱗を持つ龍で、妖華国を守護する聖なる存在だ。龍の中でも最上位とされ、皇龍一族の血に組み込まれている龍とは比べ物にならない力を誇る。
「担当直入に言えば、その蜥蜴の鱗は黄龍とつながりがある」
「え……?」
この黒い鱗がどうして黄金の鱗を持つ龍と繋がりがあると言えるのだろうか? びっしりと黒い鱗に包まれた自身の右腕を眺めながら魚子は口をとがらせた。
「信じていないようだな。その鱗は黄龍の加護を受ける者の候補である事を示す印。黄龍の加護は、全異能の上位に立つ存在だ」
「……は?」
「その鱗を持つ者と結ばれれば……我々皇龍一族にかけられた龍滅の呪いも消え去る」
そこで、だ。と低さを増した声音で切り出した鯉白は、魚子を真っすぐに見つめた。
「どうか、余の妻になってくれ。そなたの力で我々を救ってほしい」



