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⠀それは二度目の感覚だった。
「――はっ……」
止まっていた呼吸が当然息を吹き返すように、大きく息を吸う。
荒い呼吸をしながら、最初に目に飛び込んできたのは下からのアングルのシャンデリアだった。
そして自分がベッドのようなものに横たわっていることをぼんやり悟る。
ここはどこだっけ……。
靄のかかった不明瞭な思考を揺り動かそうとしたとき、ずいっと視界に人の影が映り込んできた。
「おや、お目覚めでございますね。お帰りなさいませ」
糸目の妖しい男がにこっと微笑む。
「あれ、私……」
「山下、大丈夫か?」
ベッドの上で起きあがろうとした私をすかさず支えてくれたのは、朔良先輩だった。
起き上がりながら、ひとつずつ順を追うように脳内で状況把握がおこなわれていく。そうだ、このアンティークショップを見つけて過去に行って、そして波琉くんに会って──。そして思考が一本の線になり繋がる。──波琉くん。
私は飛びつくように朔良先輩の腕を握った。
「朔良先輩、波琉くんは……っ!?」
その瞬間、朔良先輩の顔に亀裂のように痛みが走った。
目を覚まし、朔良先輩を見つけたときからうっすら感じていた違和感。その正体に気づいてしまった。ああ、朔良先輩の顔がずっと強張っていたのだ。
そして朔良先輩が力なく首を横に振る。
「…………そんな、」
──過去を変えることは、できなかった。

