「純く~ん笑今日もお使い頼んだよ笑」

「純代わりにゴミ捨てとけや笑」

今日もまた始まった。クラスのいじめっ子たちがケラケラ笑いながら僕を奴隷のように扱 う。俺はこんな扱いをされてコイツラになにか文句の一つでも言ってやりたいところだが、 コイツらは人に平気で暴力を振るうようなクソ野郎たちだ。だから俺はあえて何も言わな い、自分の体のためにも、そして自分を心配そうに見ながら何もできない傍観者でしかない
クラスメイトたちに心配をかけないためにも。
「はーい今日の授業はここまで! みんな気をつけて帰れよー!」
こんな生活でいいのかとぼーっと考えていたら授業が終わり、放課後に突入する。正直僕か らしたら、これからが僕の青春だ。いじめっ子たちに目をつけられないうちに、僕はさっそ うと階段を登り、部室へ向かった。

「お待たせー、!」

部室のドアを勢いよく開け、部員たちに挨拶をする。

「純遅いよー!」

「早く準備しろー!」

部員たちが僕の挨拶に答えてくれる。僕は言われた通りギターにシールドを挿し、エフェク ターとアンプに繋げ、演奏の準備をした。そう、僕はこの長野妻科(ながのつましな) 高校 軽音部のギターなのである。

僕が準備し終えると、早速演奏が始まる。僕は誰よりも楽しそうに、そして自信に満ちた顔 でギターを演奏した。嗚呼、この部活でギターをしている瞬間が高校生活で何よりも楽し い。

「純お疲れー! 今日もナイス演奏だったよ!」

何回かの演奏を終えて部室の角で水を飲んでいる最中に話しかけられてびっくりした。

「うわっ!って真琴くんか・・・ありがと・・・。」