「み〜んな、ふとーこーなんだって〜!笑えるよね〜。一人は謹慎だったんだけど、一応、もう学校に来ること許可されてるよ」
「は?」
しばらくの沈黙が理事長室に流れる。いや、誰でもこれは驚く。全員が風邪引くより可能性低いのでは……?
「……嘘か!」
「ホントだよ!」
すかさず返される。いや、これは誰がどう考えても嘘でしか無いって……。
「このままだと、おきゅーりょーあげられないから、頑張ってクラスメイト集めてね」
「えっ!?」
「いや、仕事してないのにお給料はだめでしょ」
「家帰っても集めるまで飲み食いできない……!?」
やばい。本当にピンチだ。このままだと、ぼく餓死しちゃう!え、一番嫌な死に方なんだけど。え〜……。
「だったらある程度生徒集めて授業できるようになるまでボクの家に住めばいーよ!」
「え?」
牧が突拍子もない事を言い始めた。いや、それこそ他の先生に失礼なんじゃ……?
「いや、だって兄弟が一緒に暮らしちゃいけないなんて法律も、憲法も無いし」
「確かに……!」
「頭大丈夫?」
「ダメ」
「ダメなんだ」
自虐ネタを即興で考えられるなんて……。自分の思考が読めなくて怖い。
「で……さすがに最初から一人で集めに行くのは心細いだろうから助っ人呼ぶよ!」
そう言いながら牧は、自分のデスクの上にある黒電話の受話器を手に取る。まだあったんだ、その黒電話……。この黒電話はぼくが子供の頃からずっと見続けてきた。今じゃ世代的に珍しすぎる代物だ。結構古いから、とっくに使えなくなってるもんだと思ってた。義朝がぼくに話しかけてくる。
「助っ人って誰だろうな?」
「流石にぼくと牧が知ってる人だと思うけど……」
と、電話がつながったようで、牧が喋りだす。
「わー!おひさーっ!!」
「牧……テンション高ッ……。うっせぇ……」
「すごく仲良いんでしょ」
「うん!今すぐっ!」
「確かにうっさいわ」
電話の相手すご……。鼓膜破れたりしないのかなぁ……。牧が相手に電話を切られて受話器を置く。
「もーすぐ来るよ!」
「「はーい」」
数秒すると、理事長室の扉が3回ノックされた。
「あ、来たかも」
「「はっや!」」
リニアかよ。いくらなんでも早すぎるでしょ。
「誰が分かったかも……」
「多分同じ人思い浮かべてるよ、オレ」
「やっぱり?」
「やっぱりって……うん」
義朝が半分笑いながら答える。牧が扉に向かって「どーぞ!」と声をかける。扉を開けて入ってきたのは……。
「久しぶりじゃのー!牧、義朝、仁!」
あ、ぼく呼ばれる順番最後なんだ。入ってきたのは牧の従兄弟の牧ノ原陽眼。ぼくの一つ上の、この学校の先輩で、血のつながってない従兄弟だ。
「仁〜、可愛いのぉ」
久しぶりの再会だからか、心なしかテンションが高いように感じる。
「久しぶりだね。4年ぶり?」
「そうじゃな」
「ねー、ボクは?可愛い?」
「おーおー、可愛いぞ、可愛い可愛い」
「やったー!」
牧にめちゃくちゃ棒読みで返しても牧は喜んでくれる……。
「まぁ、陽眼の言うことが本当ならね」
わけでもないみたい。本心言わなきゃ怒られる。
「義朝もイケメンさんになったのぉ」
「前までは不細工だったと?」
「そんなこと言っとらん!」
「そーだよ!義朝昔からかわいーもん」
陽眼の全力の不細工否定発言のノリに合わせて、ぼくも義朝が可愛いことを必死でアピールする。義朝が少し照れて「ありがと」と言う。
それに合わせて牧がパチンと手を合わせる。
「とりあえず!……ってことで、2人で何とかしてきてね〜」
「「はーい!」」
陽眼は腕まくりをして笑う。
「腕が鳴るのぉ」
「え?なにする気なの?」
とりあえず突っ込んでおいて、牧と義朝に手を振る。
「それじゃ、行ってきます」
「は?」
しばらくの沈黙が理事長室に流れる。いや、誰でもこれは驚く。全員が風邪引くより可能性低いのでは……?
「……嘘か!」
「ホントだよ!」
すかさず返される。いや、これは誰がどう考えても嘘でしか無いって……。
「このままだと、おきゅーりょーあげられないから、頑張ってクラスメイト集めてね」
「えっ!?」
「いや、仕事してないのにお給料はだめでしょ」
「家帰っても集めるまで飲み食いできない……!?」
やばい。本当にピンチだ。このままだと、ぼく餓死しちゃう!え、一番嫌な死に方なんだけど。え〜……。
「だったらある程度生徒集めて授業できるようになるまでボクの家に住めばいーよ!」
「え?」
牧が突拍子もない事を言い始めた。いや、それこそ他の先生に失礼なんじゃ……?
「いや、だって兄弟が一緒に暮らしちゃいけないなんて法律も、憲法も無いし」
「確かに……!」
「頭大丈夫?」
「ダメ」
「ダメなんだ」
自虐ネタを即興で考えられるなんて……。自分の思考が読めなくて怖い。
「で……さすがに最初から一人で集めに行くのは心細いだろうから助っ人呼ぶよ!」
そう言いながら牧は、自分のデスクの上にある黒電話の受話器を手に取る。まだあったんだ、その黒電話……。この黒電話はぼくが子供の頃からずっと見続けてきた。今じゃ世代的に珍しすぎる代物だ。結構古いから、とっくに使えなくなってるもんだと思ってた。義朝がぼくに話しかけてくる。
「助っ人って誰だろうな?」
「流石にぼくと牧が知ってる人だと思うけど……」
と、電話がつながったようで、牧が喋りだす。
「わー!おひさーっ!!」
「牧……テンション高ッ……。うっせぇ……」
「すごく仲良いんでしょ」
「うん!今すぐっ!」
「確かにうっさいわ」
電話の相手すご……。鼓膜破れたりしないのかなぁ……。牧が相手に電話を切られて受話器を置く。
「もーすぐ来るよ!」
「「はーい」」
数秒すると、理事長室の扉が3回ノックされた。
「あ、来たかも」
「「はっや!」」
リニアかよ。いくらなんでも早すぎるでしょ。
「誰が分かったかも……」
「多分同じ人思い浮かべてるよ、オレ」
「やっぱり?」
「やっぱりって……うん」
義朝が半分笑いながら答える。牧が扉に向かって「どーぞ!」と声をかける。扉を開けて入ってきたのは……。
「久しぶりじゃのー!牧、義朝、仁!」
あ、ぼく呼ばれる順番最後なんだ。入ってきたのは牧の従兄弟の牧ノ原陽眼。ぼくの一つ上の、この学校の先輩で、血のつながってない従兄弟だ。
「仁〜、可愛いのぉ」
久しぶりの再会だからか、心なしかテンションが高いように感じる。
「久しぶりだね。4年ぶり?」
「そうじゃな」
「ねー、ボクは?可愛い?」
「おーおー、可愛いぞ、可愛い可愛い」
「やったー!」
牧にめちゃくちゃ棒読みで返しても牧は喜んでくれる……。
「まぁ、陽眼の言うことが本当ならね」
わけでもないみたい。本心言わなきゃ怒られる。
「義朝もイケメンさんになったのぉ」
「前までは不細工だったと?」
「そんなこと言っとらん!」
「そーだよ!義朝昔からかわいーもん」
陽眼の全力の不細工否定発言のノリに合わせて、ぼくも義朝が可愛いことを必死でアピールする。義朝が少し照れて「ありがと」と言う。
それに合わせて牧がパチンと手を合わせる。
「とりあえず!……ってことで、2人で何とかしてきてね〜」
「「はーい!」」
陽眼は腕まくりをして笑う。
「腕が鳴るのぉ」
「え?なにする気なの?」
とりあえず突っ込んでおいて、牧と義朝に手を振る。
「それじゃ、行ってきます」


