今日は日曜日。みんなに迷惑かけるわけにもいかないから、一人で要さん(助太刀要《すけだちかなめ》)の家へ行ったものの、誰もいなかったので先に小梅さん(斗鬼小梅《ときこうめ》)さんのところに行くことにした。
「すみません。日の出中1ーCの担任、朝倉仁です。斗鬼小梅さんのお宅で間違いないでしょうか」
とまあ、こんな挨拶を毎日している。
『はーい、どうぞー』
小さい子供の女の子の声だ。中に入った瞬間、何者かに3秒くらい目隠しをされた。その手が退くと、目の前に赤い着物を着たおかっぱの女の子が立っていた。大体ぼくの半分くらいの高さの子。……どうやって3秒も目隠ししたの?
『わたしはナミ。今からこうめちゃんのところに案内するね。ほら、ナキも』
すると、目の前に袴を履いたちょんまげの男の子がやってきた。
『うめはこっちだよー!』
この子達の声は、耳に直接、というよりは、心で聞いているような感じだった。
『うめー!お客さんだよー!』
家の中に上がらせてもらって、ナミ、ナキと呼ばれた子たちについていく。ナキくんが声を上げると、縁側に座っていた、着物を着た女の子が抹茶を片手に振り向く。
「あ、こんにちは。斗鬼小梅です。えっとこの子達は、座敷童子のナキくんと、ナミちゃんです」
……目が点になる。頭の中が目の前で起こっていることについていけない。よくテストの成績を常にトップキープしていたぼくを混乱させられたね……?
ナミちゃんは座敷童だから飛べるとか?もしくはサノくんに運んでもらった。そうすれば3秒間の目隠しは可能だ。ただ、妖怪とかそういうのが存在していることがもはや謎。
「私、霊感強くて、この子達と一緒にいたらこの子達がこの家の中では誰もが見えるようになっちゃったんですよ。大丈夫です。三人は有害じゃありませんから」
小梅さんの隣に腰を下ろして庭に目を向ける。ナミちゃんがぼくの目を覗き込む。
『あのね、こうめちゃん、辛そうなの』
『うめの相談相手になってあげてほしいんだ』
二人(?)が必死に訴えてくる。
「どんなことがあったんですか?」
小梅さんが数秒静止して話し出す。あ、話してくれるんだ。海斗くんは全然教えてくれなかったのに。……というか、海斗くんは月曜日、学校来てくれるんだろうか……。
「……順を追って説明します。まず、去年、私の母親は亡くなりました。そのせいで母親無しっ子とからかわれてだんだんといじめになっていったんです。それを聞いた父は私を助けようとしていじめっ子に暴力を振るったんです。そのせいで父は警察送りです。だから、今はこうして私と霊たちで暮らしています。何か質問はありますか?」
「学校に行かない理由は何ですか?」
そう、この話を聞いている限り学校に行かない理由が見つからない。というか、子供を守るために暴力って……。捕まる方が子供に悪影響及ぼすでしょ。
「ナミたちを、家に置いて行けないから」
「なら、連れてきていいですよ」
「本当ですか?」
「はい」
「ナミとナキだけじゃ無いのに?」
「え?」
小梅さんは嬉々として家にいる霊や妖怪の紹介を始めた。
「先生が会ったのは座敷童子のナミとナキ。会ってないのだったら、浮遊霊のサノ、百々目鬼のネネ、アマビエのミエ、小豆洗いのチエ、抜けクビのソヨ、青行燈のセイ、垢舐めのキヨ、鴉天狗のハル、たてくりかえしのチヨ、ろくろ首のミワがいるので、その子達を学校に連れっても良いかを聞きたくって。ちなみに庭には人面樹とタンタンコロリンが植えてあって、猫又のむぎ、八咫烏のマホロバもいます」
……やけに多いな。この家、本当に大丈夫か……?
「わかりました、連れてきて良いですよ」
「それなら、私、明日から学校行きますね」
「良かったです。でも……小梅さん。話したいことは、あれで、全部ですか?」
「すみません。日の出中1ーCの担任、朝倉仁です。斗鬼小梅さんのお宅で間違いないでしょうか」
とまあ、こんな挨拶を毎日している。
『はーい、どうぞー』
小さい子供の女の子の声だ。中に入った瞬間、何者かに3秒くらい目隠しをされた。その手が退くと、目の前に赤い着物を着たおかっぱの女の子が立っていた。大体ぼくの半分くらいの高さの子。……どうやって3秒も目隠ししたの?
『わたしはナミ。今からこうめちゃんのところに案内するね。ほら、ナキも』
すると、目の前に袴を履いたちょんまげの男の子がやってきた。
『うめはこっちだよー!』
この子達の声は、耳に直接、というよりは、心で聞いているような感じだった。
『うめー!お客さんだよー!』
家の中に上がらせてもらって、ナミ、ナキと呼ばれた子たちについていく。ナキくんが声を上げると、縁側に座っていた、着物を着た女の子が抹茶を片手に振り向く。
「あ、こんにちは。斗鬼小梅です。えっとこの子達は、座敷童子のナキくんと、ナミちゃんです」
……目が点になる。頭の中が目の前で起こっていることについていけない。よくテストの成績を常にトップキープしていたぼくを混乱させられたね……?
ナミちゃんは座敷童だから飛べるとか?もしくはサノくんに運んでもらった。そうすれば3秒間の目隠しは可能だ。ただ、妖怪とかそういうのが存在していることがもはや謎。
「私、霊感強くて、この子達と一緒にいたらこの子達がこの家の中では誰もが見えるようになっちゃったんですよ。大丈夫です。三人は有害じゃありませんから」
小梅さんの隣に腰を下ろして庭に目を向ける。ナミちゃんがぼくの目を覗き込む。
『あのね、こうめちゃん、辛そうなの』
『うめの相談相手になってあげてほしいんだ』
二人(?)が必死に訴えてくる。
「どんなことがあったんですか?」
小梅さんが数秒静止して話し出す。あ、話してくれるんだ。海斗くんは全然教えてくれなかったのに。……というか、海斗くんは月曜日、学校来てくれるんだろうか……。
「……順を追って説明します。まず、去年、私の母親は亡くなりました。そのせいで母親無しっ子とからかわれてだんだんといじめになっていったんです。それを聞いた父は私を助けようとしていじめっ子に暴力を振るったんです。そのせいで父は警察送りです。だから、今はこうして私と霊たちで暮らしています。何か質問はありますか?」
「学校に行かない理由は何ですか?」
そう、この話を聞いている限り学校に行かない理由が見つからない。というか、子供を守るために暴力って……。捕まる方が子供に悪影響及ぼすでしょ。
「ナミたちを、家に置いて行けないから」
「なら、連れてきていいですよ」
「本当ですか?」
「はい」
「ナミとナキだけじゃ無いのに?」
「え?」
小梅さんは嬉々として家にいる霊や妖怪の紹介を始めた。
「先生が会ったのは座敷童子のナミとナキ。会ってないのだったら、浮遊霊のサノ、百々目鬼のネネ、アマビエのミエ、小豆洗いのチエ、抜けクビのソヨ、青行燈のセイ、垢舐めのキヨ、鴉天狗のハル、たてくりかえしのチヨ、ろくろ首のミワがいるので、その子達を学校に連れっても良いかを聞きたくって。ちなみに庭には人面樹とタンタンコロリンが植えてあって、猫又のむぎ、八咫烏のマホロバもいます」
……やけに多いな。この家、本当に大丈夫か……?
「わかりました、連れてきて良いですよ」
「それなら、私、明日から学校行きますね」
「良かったです。でも……小梅さん。話したいことは、あれで、全部ですか?」


