朝、目が覚める。
隣で寝てる牧を起こさないように、そっと起き上がって、理事長室に運んでくれてる寮の朝ご飯を食べ、制服に着替える。準備が整い次第、登校。とは言っても、理事長室から職員室へ移動しただけだ。理事長室に理事長の寝室だったりなんだったりがあるからね。
「おはようございます」
職員室にいたのは義朝だけ。寮にいるとは言っても、義朝、来るの早いなぁ。
そう思っていると、理事長室がある方の扉の向こうからバタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。
「おっはよー!」
「牧、おはよう」
この登場の仕方にはもう慣れてしまったため、あまりというか……全然驚かない。多少騒がしいとは思うけど、まあそこまで嫌いじゃない登場の仕方だ。
ぼくは自分のデスクへ向かう。隣の席の義朝が話しかけてきた。
「今日はどうすんだ?」
「今日は進海斗《しんかいと》くん、ナンパ?してきます」
「いや、ナンパっていうのは道で一緒にご飯食べましょうとか言うアレだから。仁は頭良いのにカタカナ語だけはからっきしだよな」
「残念ながらね。ぼくもどうにかしたいんだけど」
義朝は、いつもぼくの一日の予定を朝のうちに聞いて、ぼくの日誌の右側のページに書き込んでくれるんだ。
左側のページは名簿と時程、振り返りとかを書く場所。
義朝が一日の予定を書くためのプリントをわざわざ用意して、毎朝書き込んでくれてるんだ。細かいところはぼくが書いてるけど。
理由を聞いたところ、「仁はものすごく抜けてるから」らしい。……どういう意味なんですかね?
しばらくして、ぼくは出かける準備を始める。義朝がお見送りに来てくれた。ぼくは靴を履いて扉の前へ向かい、義朝に手を振る。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
義朝の声が聞こえなくなったとき、同時に背後で何か倒れたような音がして、職員玄関の扉が閉まる。……まあ、倒れたものとかは他の先生が何とかしてくれるよね。
それにしても、義朝、ノリノリだなー。ハロウィン、何ヶ月か先なのにもう準備してたよ。お化粧で顔色悪く見せてたよね。
学校の正門を出て、進くんの家に向かう。
着き次第ドアーチャイムを押して進くんを呼ぶ。少しして進くんが出てくる。制服、着ないんだ。いや、あの学校来てない人ばっかだけど。校則すごく緩いもんね。
冥沙が進くんに向けて言う。
「行ってらっしゃい」
冥沙の後ろには、たくさんの弟たちが控えていた。進くんは頷く。
「ん。行ってきます」
進くんがこっちに近づいてきてから説明する。
「実はですね、不登校なのは進くんだけでは無かったんですよ。それどころか、クラス全員不登校だったんですね」
「……は?」
この反応見るの、二日で三人目。
「なので、今日はクラスの一人を学校に来るように催促します。なんか進くんにもできることがあったら助かるなと思って呼びました。わかりましたか?」
「……おう」
「今日行くのは進くんのクラスメイトの、進海斗くんのところです。詳しい話は何も聞いてないので、ひとまずお家へ向かいましょうか」
隣で寝てる牧を起こさないように、そっと起き上がって、理事長室に運んでくれてる寮の朝ご飯を食べ、制服に着替える。準備が整い次第、登校。とは言っても、理事長室から職員室へ移動しただけだ。理事長室に理事長の寝室だったりなんだったりがあるからね。
「おはようございます」
職員室にいたのは義朝だけ。寮にいるとは言っても、義朝、来るの早いなぁ。
そう思っていると、理事長室がある方の扉の向こうからバタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。
「おっはよー!」
「牧、おはよう」
この登場の仕方にはもう慣れてしまったため、あまりというか……全然驚かない。多少騒がしいとは思うけど、まあそこまで嫌いじゃない登場の仕方だ。
ぼくは自分のデスクへ向かう。隣の席の義朝が話しかけてきた。
「今日はどうすんだ?」
「今日は進海斗《しんかいと》くん、ナンパ?してきます」
「いや、ナンパっていうのは道で一緒にご飯食べましょうとか言うアレだから。仁は頭良いのにカタカナ語だけはからっきしだよな」
「残念ながらね。ぼくもどうにかしたいんだけど」
義朝は、いつもぼくの一日の予定を朝のうちに聞いて、ぼくの日誌の右側のページに書き込んでくれるんだ。
左側のページは名簿と時程、振り返りとかを書く場所。
義朝が一日の予定を書くためのプリントをわざわざ用意して、毎朝書き込んでくれてるんだ。細かいところはぼくが書いてるけど。
理由を聞いたところ、「仁はものすごく抜けてるから」らしい。……どういう意味なんですかね?
しばらくして、ぼくは出かける準備を始める。義朝がお見送りに来てくれた。ぼくは靴を履いて扉の前へ向かい、義朝に手を振る。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
義朝の声が聞こえなくなったとき、同時に背後で何か倒れたような音がして、職員玄関の扉が閉まる。……まあ、倒れたものとかは他の先生が何とかしてくれるよね。
それにしても、義朝、ノリノリだなー。ハロウィン、何ヶ月か先なのにもう準備してたよ。お化粧で顔色悪く見せてたよね。
学校の正門を出て、進くんの家に向かう。
着き次第ドアーチャイムを押して進くんを呼ぶ。少しして進くんが出てくる。制服、着ないんだ。いや、あの学校来てない人ばっかだけど。校則すごく緩いもんね。
冥沙が進くんに向けて言う。
「行ってらっしゃい」
冥沙の後ろには、たくさんの弟たちが控えていた。進くんは頷く。
「ん。行ってきます」
進くんがこっちに近づいてきてから説明する。
「実はですね、不登校なのは進くんだけでは無かったんですよ。それどころか、クラス全員不登校だったんですね」
「……は?」
この反応見るの、二日で三人目。
「なので、今日はクラスの一人を学校に来るように催促します。なんか進くんにもできることがあったら助かるなと思って呼びました。わかりましたか?」
「……おう」
「今日行くのは進くんのクラスメイトの、進海斗くんのところです。詳しい話は何も聞いてないので、ひとまずお家へ向かいましょうか」


