「うわっまずい。」

 地下鉄の中を走り回る青年がいた。
 青年は転職後小さな村を出て、上京した。
 けれど走り回っているのを見るところ迷っているようだった。

「えっとここが何番だ…?あっ!」

 少しよそ見をしてしまったら前にいた人とぶつかってしまった。

「すっすいません。」
「いえいえ、私もよそ見してしまってて。…あ、名刺が落ちてしまってますよ。」
「ああ、ありがとうございます。」

 女性が名詞に手を伸ばす。
 が、その手がピタリと止まる。

「星川 要…。かなめ?」
「え。」
「カナメ君?」

 キラキラ星のような瞳で見つめてくる女性。その姿はまるで…

「アオイ…?」


 結局この日はあの時の七夕を超える驚きと衝撃で溢れた。
 この二人がどうなったかは目に見るよりも明らかだし、別に書かなくたって十分なくらいに伝わると思う。

 では、また。来年の七夕に    天帝
   七夕に死んだ幼馴染が織姫になって帰ってきました。 ~完~