呆然としながら手に握りしめた短冊を裏返す。端には小さく字が書いてあった。

『カナメ君が私のことをずっと覚えていてくれますように。』

「っ…。バカ…それじゃあ俺の中の彦星も織姫と一緒にいなくなったのかよ。」

 泣きそうになるのを必死にこらえる。
 カナメは空を見上げる。

「ありがと、天帝。短い時間だったけどちゃんと彦星全うしただろ。」

 流れ星が一つ、つうっと流れた。
 それが天の川に反射してカナメの涙のように流れた。