(うーん、うるさいなぁ…)
「ん?目覚ましか…」
とてつもない夢を見ていた気がする。満月の中妖精と踊って…あれ、現実?どっちだ、まぁ夢ってことでいいか。
「おはよう!あおちゃん!朝ごはんできてるわよ、座って」
「ん、おはよ」
今日もなんも変哲もない日が始まるはずだ。昨日の記憶のようなものはきっと夢だ。そう思いたい。いや、そうであってくれ。
ー「行ってきます」
「気をつけてね〜」
自転車に乗って駅まで向かう、俺は意外と高校まで遠い方で、始発の一つ後に乗っている。電車では話す人もいないから、本を読むのが日課だ。読むのは大体ミステリー、感動系とかは本当に心が動かされない。典型的に読んでるだけ無駄と思っているタイプだ。
(…そろそろか、ドア近くに行こう)
(ん…なんかでっかい影が)
「えっ…」
「あれ、青砥くんじゃん!おはよう」
「お、おはよう」
(あれ、コイツ今までこの電車だったか?一度も見たことなんか…)
「青砥くん見かけたから同じ車両に乗ったんだよ」
(何コイツ心読んできてんだよ)
「わかりやすいね青砥くんは表情がコロコロ変わってさ!」
「…そんなにか?」
「うん!そんなに!ふふっ」
(朝からからかわれて最悪だ、ここで降りるしか無いしついてくるぞコイツ…)
俺はそのまま学校まで話しながら一緒に歩く羽目になった。
ー(あれ、なんかもう着いちまった…早くね?)
「青砥くんと話し合うなぁ〜これからも一緒に登校しようね!」
「え、ちょ」
「おはよーみんなー」
「あ、千陽!!おはよー!!」
クラスに入った瞬間、千陽はクラスの一軍たちに囲まれた。完全に住む世界が違うみたいだ。
(結局こーなんのか)
そうしてまたつまらない学校生活が始まるはずだった。
ー(4時限目に体育か疲れるからやだな)
「では、ペアを組んでくださーい」
(しかもペアかよ面倒だな)
和希はD組で俺はA組、むろん話せるやつはいるがとてつもなく仲のいい奴はいない。
(また一人かよ、まあバスケごとき一人でできるか)
「あーおちゃん!」
「うわぁっ!なんだ!…お前かよ」
すぐそばにコイツの綺麗な髪が流れている。
(しかもなんかめっちゃいい匂いするんだが…ん、俺キモくないか)
「ペアいる?俺あおちゃんのペアになりたい!」
「気安くあおちゃんって呼ぶな、子供かよ」
「可愛いしいいでしょ!さあ!早くやろー」
「わかったよ…」
なんで嫌かって周りの視線が痛いからだよ。お前は何も感じないのか。周りから聞こえてくる。羨ましいとかなんでアイツなのかとか、俺だって知らない。たまたま公園で通りかかって踊らされて、踊る約束しただけなのに…
「あおちゃんうまいよー!」
「わかったからそこで止まってろ!そこまで過保護にならなくていいって!」
「だってあおちゃんが怪我したら僕…ぼくっ!!」
「はぁ…はいはいあおちゃんが怪我しないように見守っててねー」
「はーいっ!」
周りからの驚きの声が聞こえる、驚きたいのはこっちだ。月の下で踊るアイツに見入った俺が悪かった。
(なんだかんだで授業終わったな、そして認めたく無いが、楽しかった…視線は痛かったが)
「あおちゃん、一緒やってくれてありがとう。なんだかんだでやってくれるの好きだよ!」
「はいはい…」
(やっぱりなんか学校が色鮮やかだな)
甘崎千陽という強烈な存在が俺の周りを彩って、今まで希望の何も感じなかった学校がほんの少し明るくなったそんな気がした。
ーなんとか体育が終わって俺には平和な弁当の時間が来た。今日は母が作ってくれた弁当だ。週に4回は俺担当だが、今日は別。
(いつものあの部屋で食べよう)
俺の日課は誰も使わなくなった理科の予備準備室。勝手に片付けさせてもらって、ほぼ自分の部屋として使っている。誰にも入らせない、俺の大切なパーソナルスペース。ここは三階でしかも校舎の端っこで、人が集まる屋上の反対に位置しているおかげで人なんて諸共来ない…そのはずだった…
「青砥くーん!入ってもいい?ここ何?初めて来たよ!」
(き、聞き間違いだ、こんなところにアイツがくるはずない。ついに俺は声を聞きすぎて幻聴が聞こえるようになったらしい)
「あおちゃーん!居るのはわかってるよ〜!」
「え、本物…」
「ん?本物の千陽くんですよ!入っていい?入るよ!」
「返事してねぇよ!」
ガチャ…
「んふふ、やっほー青砥くん」
「なんでここがわかったんだよ…」
「え、尾行してたの気づかなかった?結構真後ろだったんだけど…てか、すごいねここ!秘密基地みたい!僕もここの仲間に入れて欲しいな」
「入れるかよ」
「お願い!!今度購買のすぐ売り切れるメロンパン買ってきてあげるから!」
「…メロンパン食ってみたいな」
(うっ!流されるとこだった、危ない)
「いやいいからっ」
「じゃあメロンパンね、あおちゃんのために頑張るよ!」
「人の話をっんっ!!…」
「しー静かにしてないと流石にバレちゃうよ?人通り少ないけど」
(うわ…顔ちけぇ…あれ、苦しいっ苦しい!!)
「んー!!!ん゛んっ!ぷはっ…おいっ何してくれんだよ」
「えへ、なんのこと?知らないなぁ」
「なんなんだよマジで」
(ほっといてくれよ…急に俺の世界に飛び込んできやがって…)
「…ねぇあおくん、どうして人を避けてるの?もしかして怖い?みんないい子達だよ?」
「…っ!!お前…何もわかってないんだな、そいつらが振り撒いてる笑顔は俺たち疎外者には向けられねぇんだよ…そんなあからさまな態度の奴らと仲良くなんてできるか」
「…そうなのかな、ごめん僕わからないや…」
「無知だなお前は、俺たちの生きてる世界には一生関わることのないような奴だもんなしょうがないか」
コイツは…そうだ、しょうがない無知な野郎なんだ、一軍外の世界も俺の居る殺風景な世界も知る由もないんだ。別に知られなくたっていいはず。
…ガシッ(えっ…?肩すごい力で掴まれてる…)
「無知だよね…本当にごめん、でも僕は無知なら無知な分、青砥のこともっと知りたいって思うんだ。僕には知る方法がある。無くたって見つけて知り尽くしたい!だって青砥めっちゃ魅力的なんだもん!」
(あおちゃんはきっと覚えてないんだよね昔のこと…やっと出会えたのに)
「えぇ、そ、そうかよ…まぁ努力次第か…」
(調子が狂うな、疲れる1日だ…)
「頑張るね!あおちゃん!」
「はぁ…」
「ん?目覚ましか…」
とてつもない夢を見ていた気がする。満月の中妖精と踊って…あれ、現実?どっちだ、まぁ夢ってことでいいか。
「おはよう!あおちゃん!朝ごはんできてるわよ、座って」
「ん、おはよ」
今日もなんも変哲もない日が始まるはずだ。昨日の記憶のようなものはきっと夢だ。そう思いたい。いや、そうであってくれ。
ー「行ってきます」
「気をつけてね〜」
自転車に乗って駅まで向かう、俺は意外と高校まで遠い方で、始発の一つ後に乗っている。電車では話す人もいないから、本を読むのが日課だ。読むのは大体ミステリー、感動系とかは本当に心が動かされない。典型的に読んでるだけ無駄と思っているタイプだ。
(…そろそろか、ドア近くに行こう)
(ん…なんかでっかい影が)
「えっ…」
「あれ、青砥くんじゃん!おはよう」
「お、おはよう」
(あれ、コイツ今までこの電車だったか?一度も見たことなんか…)
「青砥くん見かけたから同じ車両に乗ったんだよ」
(何コイツ心読んできてんだよ)
「わかりやすいね青砥くんは表情がコロコロ変わってさ!」
「…そんなにか?」
「うん!そんなに!ふふっ」
(朝からからかわれて最悪だ、ここで降りるしか無いしついてくるぞコイツ…)
俺はそのまま学校まで話しながら一緒に歩く羽目になった。
ー(あれ、なんかもう着いちまった…早くね?)
「青砥くんと話し合うなぁ〜これからも一緒に登校しようね!」
「え、ちょ」
「おはよーみんなー」
「あ、千陽!!おはよー!!」
クラスに入った瞬間、千陽はクラスの一軍たちに囲まれた。完全に住む世界が違うみたいだ。
(結局こーなんのか)
そうしてまたつまらない学校生活が始まるはずだった。
ー(4時限目に体育か疲れるからやだな)
「では、ペアを組んでくださーい」
(しかもペアかよ面倒だな)
和希はD組で俺はA組、むろん話せるやつはいるがとてつもなく仲のいい奴はいない。
(また一人かよ、まあバスケごとき一人でできるか)
「あーおちゃん!」
「うわぁっ!なんだ!…お前かよ」
すぐそばにコイツの綺麗な髪が流れている。
(しかもなんかめっちゃいい匂いするんだが…ん、俺キモくないか)
「ペアいる?俺あおちゃんのペアになりたい!」
「気安くあおちゃんって呼ぶな、子供かよ」
「可愛いしいいでしょ!さあ!早くやろー」
「わかったよ…」
なんで嫌かって周りの視線が痛いからだよ。お前は何も感じないのか。周りから聞こえてくる。羨ましいとかなんでアイツなのかとか、俺だって知らない。たまたま公園で通りかかって踊らされて、踊る約束しただけなのに…
「あおちゃんうまいよー!」
「わかったからそこで止まってろ!そこまで過保護にならなくていいって!」
「だってあおちゃんが怪我したら僕…ぼくっ!!」
「はぁ…はいはいあおちゃんが怪我しないように見守っててねー」
「はーいっ!」
周りからの驚きの声が聞こえる、驚きたいのはこっちだ。月の下で踊るアイツに見入った俺が悪かった。
(なんだかんだで授業終わったな、そして認めたく無いが、楽しかった…視線は痛かったが)
「あおちゃん、一緒やってくれてありがとう。なんだかんだでやってくれるの好きだよ!」
「はいはい…」
(やっぱりなんか学校が色鮮やかだな)
甘崎千陽という強烈な存在が俺の周りを彩って、今まで希望の何も感じなかった学校がほんの少し明るくなったそんな気がした。
ーなんとか体育が終わって俺には平和な弁当の時間が来た。今日は母が作ってくれた弁当だ。週に4回は俺担当だが、今日は別。
(いつものあの部屋で食べよう)
俺の日課は誰も使わなくなった理科の予備準備室。勝手に片付けさせてもらって、ほぼ自分の部屋として使っている。誰にも入らせない、俺の大切なパーソナルスペース。ここは三階でしかも校舎の端っこで、人が集まる屋上の反対に位置しているおかげで人なんて諸共来ない…そのはずだった…
「青砥くーん!入ってもいい?ここ何?初めて来たよ!」
(き、聞き間違いだ、こんなところにアイツがくるはずない。ついに俺は声を聞きすぎて幻聴が聞こえるようになったらしい)
「あおちゃーん!居るのはわかってるよ〜!」
「え、本物…」
「ん?本物の千陽くんですよ!入っていい?入るよ!」
「返事してねぇよ!」
ガチャ…
「んふふ、やっほー青砥くん」
「なんでここがわかったんだよ…」
「え、尾行してたの気づかなかった?結構真後ろだったんだけど…てか、すごいねここ!秘密基地みたい!僕もここの仲間に入れて欲しいな」
「入れるかよ」
「お願い!!今度購買のすぐ売り切れるメロンパン買ってきてあげるから!」
「…メロンパン食ってみたいな」
(うっ!流されるとこだった、危ない)
「いやいいからっ」
「じゃあメロンパンね、あおちゃんのために頑張るよ!」
「人の話をっんっ!!…」
「しー静かにしてないと流石にバレちゃうよ?人通り少ないけど」
(うわ…顔ちけぇ…あれ、苦しいっ苦しい!!)
「んー!!!ん゛んっ!ぷはっ…おいっ何してくれんだよ」
「えへ、なんのこと?知らないなぁ」
「なんなんだよマジで」
(ほっといてくれよ…急に俺の世界に飛び込んできやがって…)
「…ねぇあおくん、どうして人を避けてるの?もしかして怖い?みんないい子達だよ?」
「…っ!!お前…何もわかってないんだな、そいつらが振り撒いてる笑顔は俺たち疎外者には向けられねぇんだよ…そんなあからさまな態度の奴らと仲良くなんてできるか」
「…そうなのかな、ごめん僕わからないや…」
「無知だなお前は、俺たちの生きてる世界には一生関わることのないような奴だもんなしょうがないか」
コイツは…そうだ、しょうがない無知な野郎なんだ、一軍外の世界も俺の居る殺風景な世界も知る由もないんだ。別に知られなくたっていいはず。
…ガシッ(えっ…?肩すごい力で掴まれてる…)
「無知だよね…本当にごめん、でも僕は無知なら無知な分、青砥のこともっと知りたいって思うんだ。僕には知る方法がある。無くたって見つけて知り尽くしたい!だって青砥めっちゃ魅力的なんだもん!」
(あおちゃんはきっと覚えてないんだよね昔のこと…やっと出会えたのに)
「えぇ、そ、そうかよ…まぁ努力次第か…」
(調子が狂うな、疲れる1日だ…)
「頑張るね!あおちゃん!」
「はぁ…」

