彼女は知っていて言っているのか、また知らないのか料理をバカにしてくる。
 自分が作った料理をけなされた結羅は気まずい雰囲気に。

「あ、あの……これ私が作りました」
「まあ~そうなのですの!? あなたは、ここでは料理すら作ってもらえないなんて可哀想ですわね」

 結羅を下に見ている発言だった。その姿に今まで黙って聞いていた虎太郎が怒り出した。

『お前、さっきから失礼だぞ!?  結羅に謝れ』
「キャアッ!? 何ですの? この変な生き物は?」

 黒色の数珠を付けている梨々子は、その影響で虎太郎の姿は見えるようだ。驚いて後退りをする。

「虎太郎!?」
『ワシが見えるなら丁度いい。主人に意地悪を言うとはいい度胸だ。これ以上、言うなら、ワシ……白虎が相手になるぞ?』

 結羅の代わりに言い返してくれた。それには梨々子は驚いた表情になるが、すぐにフンッと鼻息を吐く。

「あなたが四神の白虎? お言葉を返すようですが、私は事実を言ったまでですわ。それに龍崎家の妻が、このようなことをするなんて恥ずかしい」
『これは最初の条件で、こちらが決めたことだ。お前さんが言うことではない』
「なんですって!?」

 虎太郎がいい返すと、それに対してムキになって怒り出す梨々子。
 これでは埒が明かない。それに喧嘩をしたいわけではない。
 結羅はため息を吐くと、梨々子の目を真っ直ぐ見る。

「料理は妹のために私が用意すると言ったからです。他も私が好きでやっていることなので。伊織さんにも許可を頂いているので、その辺はご理解して頂けると幸いです」