「……お姉ちゃん」
結羅は最初から茜が無暗に手を出したとは思っていなかった。
それは姉だからというだけではない。茜はどういう性格の子か知っているからだ。
しかし麻美の母親は顔を真っ赤にして怒ってくる。
「じゃあ、何? ウチの子が噓を言っているというの!?」
「それは私には分かりません。でも、お子さんが何か勘違いをしている可能性があると思います。一度ちゃんとお子さんと話してみた方がいいと思います」
はっきりと結羅が言うと、さらに顔を真っ赤にする麻美の母親。
「もう、いいわよ!? これは問題にさせていただきます」
そう言うと、そのまま生活指導室から出て行ってしまう。校長と担任の先生は大慌て。話し合いは強制的に終了することに。
結局のところは、頬を叩いたのは事実のこと。クラスが落ち着くまで自宅謹慎という形になった。
受験に関わる評価は大丈夫とは言っていたが、納得したとは言い難い処分だった。
結羅は茜を連れて、匠が迎えに来た車で帰宅する。しかし茜は、自宅謹慎になったことで落ち込んでしまう。
車の中や自宅に帰っても、一言も話さず。匠が何か言いたそうになるが、結羅は首を横に振って止めた。今は1人にしてあげてと。
それでも納得がいかない匠は1人で部屋の居る茜に向かって、
「……自分が悪くないのに、落ち込む必要があるのか?」と、問いかけた。
匠にとっては、自分が悪くないなら堂々としていればいいという考え方だった。
落ち込む必要はない。悪い人間など腐るほどいる。だからこそ、悩むだけ無駄だとだと思っている。
すると茜は目尻に涙を溜めながら、顔を上げる。
「……私はお姉ちゃんの力になりたかったの。いつも守ってばかりで、何の役にも立たない。それなのに……逆に謝罪をさせてしまった。それが、どんなに屈辱的なことか……あんたには分らないわよ」
結羅は最初から茜が無暗に手を出したとは思っていなかった。
それは姉だからというだけではない。茜はどういう性格の子か知っているからだ。
しかし麻美の母親は顔を真っ赤にして怒ってくる。
「じゃあ、何? ウチの子が噓を言っているというの!?」
「それは私には分かりません。でも、お子さんが何か勘違いをしている可能性があると思います。一度ちゃんとお子さんと話してみた方がいいと思います」
はっきりと結羅が言うと、さらに顔を真っ赤にする麻美の母親。
「もう、いいわよ!? これは問題にさせていただきます」
そう言うと、そのまま生活指導室から出て行ってしまう。校長と担任の先生は大慌て。話し合いは強制的に終了することに。
結局のところは、頬を叩いたのは事実のこと。クラスが落ち着くまで自宅謹慎という形になった。
受験に関わる評価は大丈夫とは言っていたが、納得したとは言い難い処分だった。
結羅は茜を連れて、匠が迎えに来た車で帰宅する。しかし茜は、自宅謹慎になったことで落ち込んでしまう。
車の中や自宅に帰っても、一言も話さず。匠が何か言いたそうになるが、結羅は首を横に振って止めた。今は1人にしてあげてと。
それでも納得がいかない匠は1人で部屋の居る茜に向かって、
「……自分が悪くないのに、落ち込む必要があるのか?」と、問いかけた。
匠にとっては、自分が悪くないなら堂々としていればいいという考え方だった。
落ち込む必要はない。悪い人間など腐るほどいる。だからこそ、悩むだけ無駄だとだと思っている。
すると茜は目尻に涙を溜めながら、顔を上げる。
「……私はお姉ちゃんの力になりたかったの。いつも守ってばかりで、何の役にも立たない。それなのに……逆に謝罪をさせてしまった。それが、どんなに屈辱的なことか……あんたには分らないわよ」

