茜が一方的に麻美に攻撃してきたと。

「ち、違う……それは狩野さんが」
「まだ麻美ちゃんのせいにしているの？　最低」
「謝れよ！」
「私は悪くない。狩野さんが言いがかりを付けたんじゃん」

　茜は必死に言い返そうとするが、それが余計に反感を買ってしまった。クラス中で揉めていると、騒ぎに駆け付けた担任の先生が止めに来る。
　しかしクラス達や麻美の言い分だけを信じてしまい、茜は生徒指導室に連れて行かれることに。
　その後に、理由を聞いた麻美の母親が学校に怒鳴り込んでくる。
　娘を傷つけられたと言いながら。ＰＴＡの母親が入ったことで、さらに問題が大きくなり、校長も含めて茜の両親が呼び出されることに。
　しかし両親とは忙しいと一点張りで、結局迎えに来たのは後から連絡をもらった結羅だった。

「本当に申し訳ございませんでした」

　結羅は学校の生活指導室まで来ると、深々と頭を下げた。

「まったく、どういう教育をしているのかしら？　私の可愛い娘を叩くなんて」
「叩いたことに関しては、本当に申し訳なく思っています」
「はっ？　叩いたことに関してって、どういうことよ！？　あんたの妹は、私の娘に対して暴言まで吐いたのよ？　それにイジメまでしたって言うじゃない」

　謝罪をする結羅に対して、麻美の母親はイジメたことまで口にする。
　叩いたのは事実だが、。イジメていないし、それ以外は無実だ。

「違う……私は何もして」

　茜は言い返そうとするが、それに割って入ったのは結羅だった。

「この子は感情的になりやすいが意志が強く、良くも悪くも純粋で真っ直ぐ。周りをよく見ている子だから、相手の気持ちも感じとります。そんな子が人を無暗に傷つけるとは思いません」