「本当なんですってば。信じて下さい」
「しかしだな……岡本さんがそうだと言っている以上は、彼女の言うことが正しいだろう。それに、君がやっていないという証拠もない」
「……それは」
「とにかく狩野さんが犯人とか余計なことは言わないでくれ。彼女の母親はPTAの役員でもある。怒らせるとただでは済まなくなるぞ」

 教師達は余計なことに首を突っ込みたくないようだ。さっさと茜のせいにして終わらせたいのが目に見えて分かってしまう。
 そのまま強引に終わらされて、歯痒い思いだけが残った。
 しかし、クラスに入ると異様な空気に。生徒達が茜の顔を見ると、、コソコソと見ては内緒話をしてくる。全体のオーラも灰色や茶色。水色が混ざり合っていた。

「茜!?」

 茜が来たことに気づいて彩友美が慌てて、傍まで走ってきてくれた。

「どうしたの? これ」
「それば、昨日茜が岡本さんをイジメていたのを見たって、狩野さんが話しちゃって。岡本さんも朝早くに先生に、そのことを話したと皆の前で話しちゃったのよ」

 彩友美が理由を話してくれたが、どうやら先手を打ってきたようだ。
 見ると、麻美は目尻に涙を溜めながら泣いていた。それを庇う取り巻き達は、茜に睨みつけてくる。

「白石さん酷いじゃない!? 岡本さんをイジメただけでは物足りず、止めに入った麻美ちゃんまで暴言を吐くなんて」
「はっ?」

 いきなり取り巻く達が言ってきたことは、昨日と真逆のこと。
 いつの間にか自分がイジメた側になっており、麻美が被害者に入れ替わっている。 茜は、あまりにことで驚きの声しか出なかった。