それは数日後のことだった。7月になり、暑い日が続いた。
 茜は親友で幼馴染みの前野彩友美(まえの さゆみ)と一緒に塾の帰りに冷たい飲み物を飲みながら商店街を歩いていた。匠には帰る頃に連絡をすると伝えてある。
 彩友美は薬剤師を目指している。一緒に勉強したりするのだが、彼女はオカルト好き。そのために茜の能力を知っている唯一の理解者だった。
 楽しく話をしていると、クラスメイトの子達を見かける。
 カーストの上位。親が弁護士や中小企業の社長令嬢とかで、お金持ちで有名な女の子グループだ。
 成績優秀で教師にはいい顔するのだが、裏ではクラスを思い通りにさせてきた。
 特に中心的リーダーの狩野麻美(かりの あさみ)は、健気でか弱いふりをする。 彼女は目をうるうるさせて頼めば、その取り巻き達は圧力をかける。また同情を買うように仕向けるも得意だった。
 しかし、そんなグループの中に地味で大人しい岡本莉子(おかもと りこ)が一緒に居たのが見えた。本来なら関りがないはずなのに。

「どうして、あのグループと岡本さんが一緒に居るの? なんかおかしくない?」

 彩友美も疑問に思っていたようだ。茜は微かだが麻美から呪詛の気配がした。
 オーラも黒色。そして茶色と金色が混ざり合っていた。茶色は疑惑や苛立ちの意味がある。金色は、お金と金属。

(まさか呪詛の影響で悪いことを企んでいるの!?)

 嫌な予感がしたため、慌てて麻美達の後を追うことにした茜。そうすると、ゲームセンターがあるお店の裏口で岡本莉子は麻美達に囲まれていた。

「さあ、さっさと金出してよ?」

 どうやらカツアゲをしているところのようだ。麻美達はお金持ちで有名なのに。
 どうして、そんなことをするのだろうか?